助成先|平成25年度(2013年度)助成先

公益財団法人 都市緑化機構では、技術開発基金による調査研究活動への助成事業を実施しています。

都市緑化機構内に設置した選考委員会によって、応募された調査研究課題の都市緑化技術としての適確性、独自性、内容、方法の適切さ、成果の有効性等について評価がなされ、その結果、平成25年度の調査研究活動の助成対象者は、以下の5名の方と決定いたしました。

平成25年度(2013年度)助成対象者

申請者/所属 研究テーマ・内容
清水 美里

北海道大学 大学院農学院修士課程1年

「都市緑化木の風倒危険度評価に関する研究」
都市緑化木として植栽される樹種についての風倒危険度評価を目的とする。風倒危険度の評価においては樹冠の受ける風圧力、樹幹の幹折れ耐力、根鉢の根返りモーメントが必要となる。なかでも、風圧力と風速の関係については研究データが少なく、データの蓄積が必要である。
本研究では風圧力の指標となる抗力係数を現場で測定する。更に、緑化木の剪定による樹冠の受ける風圧力の変化を明らかにする。また、引き倒し試験によって根張りの耐力を求め、緑化木の根返りモーメントを算出する。その後、適当な再現期間での最大風速時の風圧力による根元のモーメントと根返りモーメントとの比較を行い、いくつかの緑化樹種について風倒危険度評価を行う。
島本 由麻

新潟大学 大学院自然科学研究科 環境科学専攻 博士前期課程1年

「緑地環境の再生に資する自己治癒機能を付加した植生基盤材の開発」
近年,コンクリート農業水利施設では,植生工による環境再生が進められており,木質チップ等が多用されている。より適切な保全・管理には,基盤材へ自己治癒力を付加するとともに,導入植物の健全性をモニタリングする必要がある。申請者は,酸化マグネシウムによる自己治癒力を付加した基盤材開発と植生健全度の非破壊検査法を検討している。
本申請の研究目的は,導入植生の根圏と開発基盤材との関係から酸化マグネシウムの特性を検討することである。導入植生の健全性は研究蓄積のあるAE(AcousticEmission)法に基づく非破壊計測により検討する。検討結果を踏まえて,効果的な植生基盤の開発と実環境への適用方法を提案する。
蛭田 有希

東京大学 大学院博士後期課程 都市工学専攻

「気温に対する説明力にすぐれた緑地指標の評価手法に関する研究」
申請者は、これまで「気象条件の季節・時間変化に伴う、気温と空間構成用途との関連性の強弱」に着目した独自の手法を用いて、気温と周囲の空間構成要素との関連性に関する研究を行なってきた。本研究の目的は、その妥当性の検証である。この手法の妥当性が検証されれば、単に申請者によるこれまでの研究結果の説得力が増すというだけでなく、「気温は風や排熱など多様な要因により形成されるため、周囲の空間構成要素による影響を取り出して評価することは困難である」という問題の克服に繋がり、ひいては、熱環境問題を低減する都市構造の理解にも繋がるものと考える。
瀬川 大樹

室蘭工業大学 大学院工学研究科 博士前期課程2年

「生物多様性の価値評価に基づいた都市の緑地計画に関する研究」
本研究では,現状の都市緑地の樹木分布特性や生物多様性の価値を把握し,それをもとに自然共生型の都市に向けた生物多様性の価値向上に資する今後の都市の緑地計画の方向性を検討することを目的とする。
具体的には,現状の利用等を考慮しながら生物多様性の価直の異なるユニットの組み合わせによる簡易的な生物多様性の価値向上に向けた都市の緑地計画を検討する。そこで,現状の都市緑地をメッシュ状に区分し,各メッシュの樹木分布特性の把握,生物多様性の価値の算出,各メッシュの構造を把握し類型化を行い,生物多様性の価値と各メッシュの樹木分布特性の類型化の関連性を把握し,生物多様性の価値向上に資する都市の緑地計画の検討を行う。
相野田 幸司

東京都市大学
大学院修士2年

「音による都市生態系の評価手法に関する研究」
本研究では、失われつつある都市緑地生態系及び生物多様性保全や創成のため、従来とは異なる“音”という観点から、音環境の収録とその分析による定性的かつ定量的なモニタリング評価手法の基本的な方法論の開発を目的とする。
個人の感覚的尺度によって異なる印象を与えてしまいがちな音環境を、動植物のハビタットとしての適否として着目し、都市部に散在する緑地の音環境の定量化を試みた上で、それらの特徴を把握する。そして、調査で得られる結果から指標項目群を抽出し、健全な生態系及び生物多様性を有する都市緑地の保全や創成のため、音環境の観点から何がどのように欠けているか明らかにし、評価手法の開発を行なう。

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