屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 受賞一覧(受賞回別)

第14回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 受賞一覧

「屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」今回の受賞団体は、以下の通りです。

第14回 国土交通大臣賞:屋上緑化部門 (東京都中央区)
東京建物株式会社、第一生命保険株式会社、
片倉工業株式会社、清水地所株式会社、
ジェイアンドエス保険サービス株式会社、
株式会社日建設計、清水建設株式会社、
大成建設株式会社、綿半鋼機株式会社
東京スクエアガーデン
本作品は、東京都中央区にある商業施設を含むオフィスビルの地下1階~5 階の屋上、3,473㎡の緑化空間である。 地下広場から地上5 階までを、大地が積層するかのように緑が立体的に連続する「京橋の丘」として計画されている。飲食、物販、子育て、環境ステーション、カンファレンス、オフィスエントランスロビーの各用途をこの緑化空間とセットで配置し、緑の中に人々が憩える空間が設えられている。
四季を通じて美しい景色が展開されるように、約140 種の樹種が織り交ぜられ植栽されており、季節ごとに植物の美しさを引き出し、四季の移ろいを演出している。地下1階、地上1階部分も含めて視覚的な緑の連続性をつくり出し、通りを歩く人々をはじめ、グランドレベルから緑を楽しむことができるよう工夫がなされている。施設利用者に限らず、街を来訪する人々が身近に緑が楽しめる様に休憩スペースを配置するなど、地域に開かれた庭園となっている。
連続する庇を緑化空間ととらえ、地被植物を混植した「じゃかご」により、立ち上がり部を緑化し、柔らかな印象を演出となるよう徹底的な緑化を施している。個々の植物の成長速度・景観重要度によって高・中木、低木地被を各々3ランクに分類し、美観を保つ事とメンテナンスコストを軽減させる事を両立させる植栽計画により実現されている。 地下空間から連続する緑、歩道を往来する人々の目線を楽しませ、緑を感じながら寛ぐことのできるスペースを提供するなど、地域への貢献性とともに、四季を通じて植物の美しさで街を演出する工夫などが高く評価された。

第14回 国土交通大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都千代田区)
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社日建設計
株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所
鹿島建設株式会社
鉄建建設株式会社
西武造園株式会社
東京駅八重洲口開発グランルーフ

本作品は東京都千代田区、東京駅八重洲口にある南北の2大高層ビルをつなぐ延長230mのペデストリアンデッキと1F 外構部の歩行者空間に施されている。緑化された歩行者空間は計約6,200 ㎡に及ぶ。
2002 年から段階的に計画、整備が進められ、2007 年には核となる南・北に並ぶ超高層のツインタワーが開業。2013 年にはそれをつなぐ、全長230mにも及ぶ大屋根、歩行者デッキ、壁面緑化をランドマークとした「グランルーフ」が完成。そして2014 年秋には駅前広場の整備を終え、首都東京の新しいゲートが誕生した。
東京駅丸の内駅舎を復元した丸の内側の「歴史」を象徴する玄関口に対し、東京駅八重洲口開発は、「未来」を象徴する玄関口として、先進性・先端性を表現している。
「グランルーフ」を主体に、駅前広場全体が、環境に配慮した「光」・「緑」・「水」・「風」の要素により構成、デザインされ、高木・地被植栽、壁面緑化、ソーラー、ミスト、風力発電などが一体的に整備された緑地はトータルで3,000 ㎡に及んでいる。優れた緑化技術の導入と、高い管理水準より、首都「東京」に相応しい、緑あふれるパブリック空間となっている。 歩行者の目を楽しませる30 種ものカラーリーフの導入、傾斜をもつ大面積壁面の緑化、ミストの内蔵、徹底した試験検証、複合的環境対策、丁寧な管理への工夫等が高く評価された。


第14回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (東京都世田谷区)
東京農業大学
株式会社久米設計
清水建設株式会社
イビデングリーンテック株式会社
農大アカデミアセンター屋上緑化

本作品は、東京都世田谷区にある、大学の図書館機能と本部機能を併設した9階建ての複合施設の屋上に創出された、約877 ㎡の屋上庭園である。
東京農業大学のある世田谷区は、緑豊かなイメージの高いエリアであるが、受賞作品であるアカデミアセンターも、ケヤキ、クスノキ、メタセコイアなどの巨木で構成された「農大の森」の一角に位置しており、建設に際しては、建築資材に自然素材を用いたり、太陽光や雨水の利用など環境への配慮を図り、「農大の森」と一体になるよう工夫されている。屋上の強い風から庭を守るために設置したスクリーンは透明なものを選定し、視覚的に「農大の森」との一体性を確保するよう配慮している。本屋上庭園は、「農学の基本的フィールド」である里地・里山を構成する農地、二次林、ため池、草原などの要素を取り入れた「林、里、原、畑」のゾーンから構成され、「世田谷の地域性を活かし大学キャンパスの緑との一体化を図る」「里地・里山の景観を表現し環境に配慮した技術を導入する」「学生による植物維持管理の実践の場」の3点をテーマとしている。
「農学の基本的フィールド」である里地・里山を都市のキャンパスに再現したという取組みや、世田谷区の「風景づくり計画」と連携した景観づくり、維持管理を通じた学生の学びの場の創出等といった点が高く評価された。


第14回 環境大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (滋賀県守山市)
セイレイ興産株式会社
株式会社ホロニック
株式会社芦澤竜一建築設計事務所
株式会社ウイン
株式会社ラーゴ
セトレマリーナびわ湖/ヤンマーマリーナホテル

本作品は、滋賀県守山市、琵琶湖湖畔にあるホテル、約9,653 ㎡の緑化空間である。かつて、琵琶湖にはいつくもの内湖があり豊かな生態系を育んできたが、現在ではそのほとんどが姿を消してしまった。本作品では、敷地西側の湖際に「内湖」となる雨水を利用したビオトープを創出し、建物を間に敷地東側には里山育成林を配し、水辺から里山へとエコトーンのグラデーションの形成を目指している。このエコトーンのグラデーションを分断しないよう、中間領域に配置した建築物については、その形状や配置、仕上げの素材に至るまで、様々な工夫が凝らされている。建築の周囲に伸びる段状の折板スラブの上部を全て緑化しすることで、周辺の自然の植生が連続して宿っていくプラットホームとなることを意図している。建築物の仕上には、地域で採取できる自然の素材や日本の伝統的な工法を用いるなどし、地域の自然環境や風土との親和性を高めるよう試みている。
また建築の竣工後から、ホテルの運営者が主体となって、外来種植物の除去などエコトーンを再生するための様々なプログラムを実施している。これには、設計者、ホテル宿泊客、学生などが参加し運営されている。
一旦消失したエコトーンをホテル建設に際し再生するというコンセプトと共に、地域生態系にとけ込む建築の工夫、ホテル運営者が地域と一体となって環境再生に取組む活動等、地域環境やまちづくりに貢献する事業のスタイルが、緑化技術と相まって高く評価された。


第14回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (東京都江東区)
日本ヒューレット・パッカード株式会社
西武緑化管理株式会社
西武造園株式会社
日本ヒューレット・パッカード株式会社
本社ビルスカイガーデン

本作品は、東京都江東区にある、日本ヒューレット・パッカード本社社屋の屋上に創出された、1,136㎡の屋上庭園である。2011年5月に開所した日本ヒューレット・パッカード本社社屋は、横十間川を挟み緑豊かな都立恩賜猿江公園に近接するとともに、北はスカイツリー、南はレインボーブリッジを上階から望むことができる眺望に恵まれた立地環境である。
本屋上庭園はこの眺望を満喫できる最上階8階の社員食堂と一体化したスカイガーデンとして計画された。同社では、自由な発想を自由な時間・場所で生み出すことを目的とした、自席を持たない「フリーアドレス制」を社員の約75%が採用しており、社員食堂は単に空腹を満たすためだけの場ではなく、飲食をしながら新たなアイデアを生み出す仕事の場、社内コミュニケーションの重要な場として位置づけられている。また、「快適性の高いサスティナブルデザイン」という建築コンセプトと連携し、食堂での提供メニューから空間構成まで一貫したこだわりのもとプロデュースされている。
それらを受け、屋内外デザインの連続性・美観性の演出、食堂への食材提供を目指した五感を刺激する植栽、永続的に安全な食材を提供するための緻密な維持管理等を重要項目と位置づけ、段階的かつ継続的に整備・運営が実施されている。
エディブルプランツを中心とした庭づくりとし、社員食堂への食材提供を目指すという意欲的な試みや、それを実現させるための維持管理の工夫、緑化空間をオフィースワーカーの生産性の向上に活用しようとする試み等が高く評価された。


第14回 日本経済新聞社賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都港区)
日本土地建物株式会社
清水・坂田・日土地建設JV
株式会社杉孝
日土地虎ノ門ビル

本作品は、東京都港区にあるオフィスビルで、地上から7階フロアレベルまでの壁面、約240㎡を緑化したものである。
本ビルでは、20を超える省エネ・環境配慮技術を採用しており、国内外の様々な環境認証を同時に取得している、環境配慮型オフィスビルである。省エネ性能を追求するだけでなく、オフィスワーカーや周辺で活動する人々に自然や時間の流れ、季節の移ろいを感じてもらうことも環境配慮の重要な要素と捉え、基準階エレベーターホールに港区の協定木材を利用した無垢材フローリング(栗材)の採用、全ての居室に外光が差し込む平面計画、ドライミストによる周辺街区の冷却効果等に取組んでいる。
緑化については、10種類を超える多様な植栽構成となっている。地表面は10m超の高木で、周辺に木陰を提供し、最上階には屋上テラスを設け、オリーブとフィリフェラオーレアの植樹を行いアメニティ性を高めている。また、壁面緑化は地上南面に31mの高さまでルーバー状に多様な植栽を施すことで、足元廻りだけでなく、緑を空中にまで拡げる工夫を行っている。
テナントビルにおいては、「緑」は管理負担の増につながるものととらえられがちであるが、本作品では、「緑」を含む「環境配慮」を積極的に導入することにより、付加価値を高めている。このような「環境配慮」への意欲的な取組みに加え、手入れのしやすさや、歩行者の目線を意識したデザイン等が高く評価された。


第14回 都市緑化機構会長賞:屋上緑化部門 (大阪府大阪市)
近鉄不動産株式会社
株式会社竹中工務店
千葉大学大学院園芸学研究科
オンサイト計画設計事務所
あべのハルカス

本作品は、大阪府大阪市にある複合施設の屋上3か所に設けられた、合計約813㎡の屋上庭園である。
「あべのハルカス」は、駅、百貨店、美術館、オフィス、ホテル、展望台といった様々な機能が高密度に集積した地上300mの立体都市で、上空にセットバックし屋上庭園を設けている。16階の美術館エントランスロビーに面した屋上広場、38階のホテル客室エリアの足元に配置したホテルガーデン、58階の展望台エリアに配置したスカイガーデンは、それぞれに特色を持たせた庭園となっている。地上300mの立体都市の中でそれらの庭園は文字通り「都市の公園」として機能し、訪れる人々に様々な憩いの場所を提供している。
16階の屋上庭園には上町台地の植生をマッピングした数十種類の植栽で構成される雑木林を設けている。地域固有の樹種によって創り出された空間が、そこで過ごす人間にはもちろん、地域の生物にとっても貴重な場であり「生態系サービス」を提供するよう位置づけられている。
植栽計画にあたっては、風環境を把握する風洞実験に加え、樹種ごとの風耐力を把握するために枝の引張試験を実施している。加えて、単位面積当りの葉の密度を計測し、引張試験と葉の密度から枝の風耐力を算出し、風洞実験から得られた屋上庭園の風荷重を上回る枝の風耐力がある樹種を採用し、樹木の枝が強風により飛来するリスクの軽減を図っている。
強風等により緑化が困難な高層ビルの屋上において緑化空間を創出すべく、強風に耐えうる植物を様々な実験により選定するなど、高密度に集積する都市空間に緑を創出する工夫や技術が高く評価された。


第14回 都市緑化機構会長賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都港区)
大和リース株式会社
鈴木エドワード建築設計事務所株式会社
VENT VERT(ヴァン・ヴェール)

本作品「VENT VERT(ヴァン・ヴェール)」は、東京都港区にあり、ショップ・飲食などの店舗が主に入居するテナントビルの壁面、約84㎡を緑化したものである。
「ヴァン・ヴェール」とはフランス語で「緑の風」を意味し、「東京の街に「緑の風」を吹かせたい」という想いを込めて名付けられたものである。緩く弧を描いた建築のフォルムと街に潤いを演出する壁面緑化を融合させたスタイリッシュな外観となっている。
「外からも中からも、緑を楽しめる建築」をコンセプトに設計されており、ファサードから少し離してインターフェース(建物の中と外との中間領域)を作り、そこに両面植込みタイプの壁面緑化を設置することで、外からはもちろん、室内からも緑を楽しむことができる。
この壁面緑化システムは、植物の育成に不可欠な十分な土壌をシステム内に確保することができ、植え付けた植物は土中に根を張り、縦横に大きく育つため、ボリュームある緑化を可能としてる。自動潅水設備をシステム内に組み込むことにより、植物が良好に育つ環境を整えている。
植物の生育に必要な土壌を十分に備えており、施工から年月を経ることで植物が成長し、熟成していく緑の「経年優化」を楽しめるよう工夫されていること、スタイリッシュなデザイン、狭小な空間にあっての豊かな緑量等が高く評価された。


第14回 審査委員会特別賞:屋上緑化部門 (東京都足立区)
学校法人芦田学園
東邦レオ株式会社
屋上の芝生園庭、千住寿幼稚園

本作品は、東京都足立区にある幼稚園の屋上部につくられた160㎡の屋上庭園である。
千住寿幼稚園は昭和29年4月に開園し、知育・情操・体育を保育の3本柱として、調和のとれた人間像を育成することを目標としている。都市ならではの狭い敷地でも、幼児期の身体を動かす体験によって健やかに育つよう、一年を通して緑の芝生空間を屋上に導入している。
緑化駐車場等で採用されている芝生用耐圧基盤土壌と、屋上緑化で使用されている貯排水層を組み合わせたシステムを採用し、当初の「上手くいかないのではないか」「手入れが大変なのではないか」という懸念を克服し、良好な芝生園庭を維持することができている。芝生は回復力が早く柔らかいティフトン419とペレニアルライグラスを採用している。
屋上の芝生化に加え、屋上フェンスには、フェンスにフウセンカズラやモッコウバラを絡ませるなどし、平面的になりがちな屋上緑化を立体的に演出している。また、屋上への上り口は、立体遊具と一体となっており、園児たちが屋上に上がりたくなるよう工夫を施している。
維持管理に関しては、専門家と幼稚園職員が連携して行っており、芝生の刈り高や季節毎の灌水量の設定と生育診断、冬芝の播種と生育管理は専門家が行い、芝刈りや施肥といった日常管理は、専門家のアドバイスを得て幼稚園職員が行っている。
芝生にとっては過酷な環境ともいえる園庭を「一年を通して緑に」という、意欲的な目標に対し、技術的な工夫と幼稚園職員の努力により課題克服に取組んでいる点が評価された。


第14回 審査委員会特別賞:壁面・特殊緑化部門 (Johor, Malaysia)
J.S.T. CONNECTORS (MALAYSIA) SDN. BHD.
株式会社芦澤竜一建築設計事務所
株式会社ウイン
FACTORY IN THE EARTH / JST MALAYSIA

本作品は、マレーシア、ジョホール州の埋め立て地に立地する工場に施された約15,469㎡の緑化空間である。
工場で働く人々が、自らの働く場所にプライドが持てるような労働環境とすることが、整備のコンセプトである。熱帯雨林地域の豊かな雨水、太陽光、風、地熱、緑など自然の力を用いた、地域に根付いたローカーボン型のサスティナブルな工場環境を目指している。
向上建屋の大屋根は、地表をめくるように大地と連続しており、屋根全体が緑化空間となっており、緑の丘が工場建屋を被うような形状となっている。屋上に降り注ぐ雨水は、柱の中に埋め込まれた雨水配管によって、地下貯水槽に貯められ、植物の散水など循環的に利用されている。大屋根が着地する端部には、雨水が流れ込む池を2つ設けている。池は、中心部と周縁部とで深さを変えるなどし、ジャングルの湿地特性を再現している。事務所機能を持つ高層棟は、楕円形の平面を持ち、その長軸方向を太陽の軌跡とほぼ同一の東西軸と一致させ、外壁面に対する日射の影響を最小化している。また高層棟の外壁の周囲に沿ってグランドフロア―から最上階まで、スタッフが歩ける連続するスロープを配置している。スロープの周囲に沿って設けられたプランターでは、ワイヤーを登攀する蔓系の植物を育て、内部への日射を遮るとともに、高層棟における緑のファサードを形成している。
周辺の自然環境と一体となった環境を創出し、自然のエネルギーと一体となった工場を体現しており、大胆なデザイン、ダイナミックな緑化への取組みが高く評価された。