屋上・壁面緑化技術コンクール 受賞一覧(受賞回別)

第17回 屋上・壁面緑化技術コンクール 受賞一覧

※「屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」は、第16回より「屋上・壁面緑化技術コンクール」となりました。

「屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」今回の受賞団体は、以下の通りです。

第17回 国土交通大臣賞:屋上緑化部門 (東京都中央区)
銀座六丁目10地区市街地再開発組合
株式会社谷口建築設計研究所
鹿島建設株式会社
株式会社プレイスメディア
GINZA SIX


 本作品は、「松坂屋銀座店」跡地を含む街区ならびに隣接街区の2つの街区で構成された約1.4haを一体的に整備した再開発事業である。
 銀座通りに面して、間口約115m、奥行約100m、延床面積約148,000㎡の「GINZA SIX」は、2街区一体整備の再開発事業により、銀座エリア最大規模を誇る商業施設をはじめ、都内最大級の1フロア貸室面積約6,148㎡を有する大規模オフィス、日本の伝統文化を発信する文化・交流施設「観世能楽堂」など、多彩な都市の機能を配置している。
 また、約4,000㎡の広大な屋上庭園や観光バス乗降所、安全で快適な交通・歩行者ネットワーク、非常用発電設備や防災備蓄倉庫棟の防災支援機能を整備するなど、地域に開かれた場所として、世界中から訪れる来街者の利便性や快適性向上に大きく貢献するとともに、東京を代表する国際的な街「銀座」における、新たな磁力となっている。
 銀座六丁目の象徴として堂々とアピールするとともに、五感すべてを満たすモノやコトが集まり、五感を超越した喜びや満足など新たな価値を提案する、5つ星を超える6つ星級の価値をもった施設であることを表現している。
 多様な技術が盛り込まれた都心部の屋上緑化のモデルとして、まとまった緑化空間が創出され、回遊性が確保されていること、オフィスワーカーの憩いの場、インバウンド観光への貢献に加えて、「街育プロジェクト」と呼ばれるESD(持続可能な開発のための教育)活動などの積極的なアクティビティが展開されていることが高く評価された。


第17回 国土交通大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (山口県山口市)
山口市
新山口駅南北自由通路「垂直庭園」実行委員会
株式会社プランツアソシエイツ
株式会社パーク・コーポレーション
新山口駅“垂直の庭”

 本作品は、山口市によるJR新山口駅周辺のにぎわい創出と山口市・山口県央部の活性化を目指した“新山口駅ターミナルパーク整備事業”により計画された長さ約100m、高さ約5mの壁面緑化である。この壁面緑化の工法は、植物学者兼アーティストのパトリック・ブラン氏が考案した“Vertical Garden”を採用している。山口市徳地と阿東地区、美弥市での植生調査をもとに、地域に自生する植物種を採取し、約135種の在来種を用いて、山口の里山を表現している。本作品の特徴は、壁面緑化を通して、市民に地域の緑に愛着をもたせ、地域の緑の価値を再認識させるため、地域の植生をパトリック・ブラン氏による壁面緑化のアートとして再現し、竣工時から地域住民の積極的な参加を募っていることである。
 駅構内通路部の大規模緑化事例として波及性が強く、在来種活用のための綿密な取り組みと竣工時から地域住民を巻き込んだ活動であること、そして、プロジェクト全体の完成度の高さが高く評価された。


第17回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (富山県黒部市)
YKK不動産株式会社
株式会社プレイスメディア
株式会社エステック計画研究所
株式会社槇総合計画事務所
戸田建設株式会社
株式会社野上緑化
パッシブタウン 第1期街区+第2期街区

 本作品は、環境や自然をありのままに受け入れ活用する「パッシブデザイン」をキーワードに敷地面積36,100㎡を有する自社の社宅跡地において進められた住宅地開発事業である。今回、対象となる街区は、地下駐車場に屋上緑化を施した東側の2街区で、2016年12月までに竣工したものである。
 ランドスケープデザインの基本コンセプトは、黒部の自然環境が有するポテンシャルを最大限に活かす状況をつくりだすこととし、この地域特有の夏の季節風「あいの風」を活かした配置計画、街区内部への冷気の誘導、気化冷却、地中熱利用、修景活用を意図した地域の水のネットワークの引き込み、十分な深さの植栽基盤の確保、夏場の緑陰と冬場の陽光をもたらす落葉高木を主体とした植栽計画、保水性舗装を含む地表面の被覆などにより、このコンセプトを実現した。
 街区全体でヒートアイランド対策を実施し、風の道や緑陰を提供するだけではなく、緑がコミュニティの中核に位置づけられ、環境学習型ワークショップの開催など地域住民に開かれた点が高く評価された。


第17回 環境大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都中央区)
三井不動産株式会社
株式会社日本設計
ランドスケープデザイン塾
清水建設株式会社
イビデングリーンテック株式会社
福徳神社・福徳の森

 本作品は、日本橋の地の歴史と賑わいを再興し、継承していくことを目指して、都市再生特区(福徳神社)と特定街区(福徳の森)という異なる都市開発手法を用いながらも連携し、エリアの都市構成を再編したプロジェクトである。両街区とも、“残しながら、蘇らせながら、創っていく”という事業者の理念に沿って、地下鉄からの地下ネットワークや駐車場の確保などの地域貢献を行いながら、人工地盤上に地域の精神的な拠り所となる豊かなみどりの空間を実現した。
 人工地盤上に歴史空間と境内林を創出し、本格的な森がビル群の中に視認できるという意外性、四季折々、いろいろな関東の植物が楽しめること、2020年の東京オリンピックに向けた日本橋のヒートアイランド対策として五感に訴える取り組みをしていることが高く評価された。


第17回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (群馬県太田市)
太田市美術館・図書館,
株式会社平田晃久建築設計事務所,
株式会社エスエフジー・ランドスケープ
アーキテクツ,株式会社プランタゴ,
石川建設株式会社,株式会社山梅,
株式会社イケガミ
太田市美術館・図書館

 本作品は、太田駅北口前に建つ美術館、図書館のほか、カフェやショップ、AVホールがある文化交流施設である。この建築は、非常にシンプルな構造をしており、周囲の建物と同じようなスケールをもった5つの鉄筋コンクリート構造の箱と、その周りをぐるぐる回る鉄骨構造のスロープによってできている。
 植栽計画では、太田駅前に「山」をつくることを考え、建物まわりの植栽や屋上緑化がばらばらにあるのではなく、外構から屋上まで全体がひとつの山となるよう詳細に設計している。枝葉が横に広がる樹種や壁面に垂れ下がる植物をキワに植え、独立した屋上同士に連続性を与えている。
 太田市内で生産した樹木(在来種)を使用し、多様性に配慮している点、地方の公共施設としてレベルの高い技術が使われており、緑化にも工夫が凝らされている点、駅前という立地と地上面から屋上が視認できる点が高く評価された。


第17回 日本経済新聞社賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都千代田区)
小学館不動産株式会社
株式会社日建設計
鹿島建設株式会社東京建築支店
西武造園株式会社
小学館ビル

 本作品は、東京を代表する「本の街」、神保町の白山通り沿いに立地する出版社の本社ビルの建替に伴う壁面緑化である。
 建替にあたっては、免震性を確保した上で、最大限のオフィス空間と24時間稼働が求められる業務条件に対応する省エネルギーと快適性を確保する総合的な建築計画となっている。地上部の躯体は、オフィス空間と空調効果を効率的に確保する耐力壁とすることで特徴的なファサードを形成している。24時間稼働および災害時対策により、大型化する設備機器が建築構造上、必要な鉄骨と共に集約された屋上部分において、構造鉄骨を有効に活用した壁面緑化を外装材として採用することにより、設備機器を遮蔽するとともに、都市に象徴的な緑化景観を提供し、特徴的なファサードとのコントラストが、都市と自然の親和性の創出に寄与している。
 屋上に設置される機械室に対する緑化による一つの解として、また、地上からの視認性、緑化による看板効果、特徴的なデザイン性と都市景観の改善が高く評価された。


第17回 都市緑化機構会長賞:屋上緑化部門 (愛知県名古屋市)
株式会社竹中工務店
有限会社オンサイト計画設計事務所
株式会社朝日興産
グローバルゲート

 本作品は、名古屋駅南西の新しい街「ささしまライブ24」の中核施設である。運河の突端にあり、ツインタワーの間に緑あふれる商業施設を配置して、運河再生に呼応する象徴的なゲートを創出した。
 ビルの足元をつなぐ屋上庭園では、高木36本、地木4,866本、地被1,160m2もの植栽が第二の大地としての空間を演出している。利用者が気軽に寝転び、休憩できる憩の庭園空間を目指した。土壌の軽量化を図るため、植栽基盤の底面に嵩上げ用EPSブロックを敷設して、マウンド上に整形した。
 樹種においては、機能的にビル風対策が求められ、常緑で耐風性のあるアラカシを南北面に列植して防風林として用い、屋上における居住性を高めた。落葉樹のヤマボウシ、エノキを織り交ぜ、低木においても葉の緑色の階調を変えながら樹種を選定することで、季節ごとに違う表情を生み出すように設計した。壁面緑化の植物の選定は、強風を受けやすい立地条件や薄層基盤となる過酷な生育環境に適応できる耐乾性に優れた強健な種で構成し、各プランター毎の日照条件に対応して、陽性・陰性植物を使い分け、四季の変化を楽しめる紅葉種やカラーリーフによる多彩な色彩を演出した。
 再開発が進む名古屋駅周辺において、多様性豊かな植栽構成を有し、人々の集う空間として魅力的な緑の空間を創出した点が評価された。


第17回 都市緑化機構会長賞:壁面・特殊緑化部門 (大阪府大阪市)
小泉産業株式会社
株式会社竹中工務店
株式会社田中造園
コイズミ緑橋ビル

 本作品は、自然の「あかり」をお手本に、照明器具の企画・開発・製造・販売を行っている研究開発施設の緑化である。敷地は大阪市内の住宅地にあり、街に対しては“緑段のPARK”として、まちのスケールと調和させ、ワークプレイスに対しては“各階のGARDEN”として、適度なヒューマンスケールとリアルな自然との関わりを創り出した。
 各階バルコニーは、セットバックさせることで、日光や雨水を積極的に享受しながら植栽が健全に成長することを可能にしている。植栽は、超速硬化ウレタン塗膜防水を施したバルコニーに、人工軽量土壌を詰めた軽量メッシュプランターを置くだけのシンプルな納まりとし、施工性とメンテナンスにも配慮している。
 バルコニーの奥行は3.5m、高さは3m確保しており、自然光、風、緑を感じながら思考を巡らしたり、気分転換を気軽にすることができる。屋上広場では、緑のレイヤー越しに都市風景を眺めることができる。高木をヤマザクラに統一したため、春は入社式や花見などの季節のイベントを楽しむことができる。植栽は、淀川水系に自生している樹種を中心に、四季を感じられる樹種を選定している。
 周辺地域と緑を共有し、潤いのある景観を創出していること、社員自らが植物の成長を楽しみながら、植物を守り、育てていることなど、緑化を前提とした建物の設計が評価された。


第17回 都市緑化機構会長賞:壁面・特殊緑化部門 (神奈川県横浜市)
野村不動産株式会社
清水建設株式会社
株式会社フィールドフォー・デザインオフィス
株式会社コミヤマ環境
みのる産業株式会社
横浜野村ビル「グリーンラジエーター®」

 本作品は、外壁面前面に隔離距離を設け、両面に緑化面を形成する縦型緑化ルーバーを外壁面と垂直に自立させたシステムである。酷暑環境に寄与する環境緑化システムとして、建物の開口面や窓面への設置も可能である。室内からは、緑のルーバーの合間から屋外視認性も確認でき、外部からは視覚的ブラインド効果も可能な汎用性のあるシステムである。
 緑化面を通過する空気が緑化基盤からの蒸発散効果を受けることにより、都市部にクールスポットを創出するだけではなく、夏期の直射光を受けにくい形状であるため、通常、外壁面に設置した壁面緑化で発生する植物の葉焼けや枯れの不具合を抑制を可能にしている。
 導入する植物は、在来種(キヅタ、テイカカズラ、リュウノヒゲ等)を主体に、湿潤で岩場や大木等に着生する常緑シダ植物(ノキシノブ、イワオモダカ等)、山野草(イワタバコ)、着生ラン(セッコク)などを植栽することで、都市の中で希少な地域在来種を保全し、自然が持つ清涼感や季節の移ろいを感じ取れる、人と自然が共生するデザインとなっている。
 クールスポット創出と在来種活用による生物多様性創出の両立を可能にし、既存ビルでも採用可能な緑化システムであることが、技術的に高く評価された。


第17回 都市緑化機構会長賞:特定テーマ部門 (東京都渋谷区)
株式会社アトリウム
株式会社アトレ
株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所
大成建設株式会社
そら植物園株式会社
イビデングリーンテック株式会社
アトレ恵比寿西館空中花園

 本作品は、JR恵比寿駅西口広場にオープンした駅と直結した商業施設(アトレ恵比寿西館8階)に広がる「日常×非日常」をテーマとした屋上ガーデンテラスである。
 店舗からの人の流れも考慮して計画された本作品は、①圧倒的に豊かな緑量、②人を魅了するシンボルツリー、③サプライズ、④オプション演出という4つのポイントを計画の柱としている。
 条件に基づいて選別された植物は、ほぼ全世界から80種類あまり集められている。これらをあふれるように植栽したことが、本作品ろ「非日常」の空間と印象づける大きな要因となっている。シンボルツリーには、常緑樹であり、根詰まりに強く、強風に耐え、縁起が良いという理由からオリーブが選ばれた。このオリーブは、推定樹齢500年、スペインのオリーブ農園から移植された老木で、その独特の風格には見る者を圧倒する迫力がある。そして、訪れる人に愛着を持ってもらうための方法として、季節に応じた植栽演出を行っている。
 限られた空間でボリューム感のある緑化を実現し、眺めるだけではなく、イベントと組み合わせることで、新しい付加価値を有する作品であると評価された。


第17回 都市緑化機構会長賞:特定テーマ部門 (東京都中央区)
株式会社kt一級建築士事務所
神戸山手大学
河野工務店
株式会社SOUL EAT
本等鮨 海馬

 本作品は、東京・京橋の骨董通りに位置し、無機質な雑居ビルが立ち並ぶ中に緑を前面に押し出したファサードを有する鮨屋である。
 緑好きのオーナーの要望(ローコスト、ローテク、面白い店構え)に合わせ、鉄のフレームを組み6つの箱型扉に緑のプランターを乗せ、壁状に配置した。緑の箱型扉は、可動式で閉店時は閉めシャッター代わりとなる。稼動の箱型扉を軽くするため、土壌には土の代わりに軽く保水力のあるピートモスを採用した。植物は季節ごとに取り替えて、楽しめるよう、あえて不織布のプランターを採用し、簡単に置き換えられるようになっている。
 水やりは自動灌水を使わず、スタッフの日課とすることで、植物の状態を意識し、常に、きれいなファサードを維持している。2ヶ月に一度、地元の園芸店がメンテナンスに入り、季節ごとにプランターごと植物を取り替えている。
 敷地の角にある柱廻りには、小さなプランターを取り付け、「都心の小さな畑」と名付けて野菜を植えている。できた野菜は常連のお客様との会話のネタになっている。
 限られた空間でシャッターと兼ねた緑化という考え、街を緑でつなげる取り組みの一つとしての期待を込めて、評価された。