第34回 緑の都市賞

第34回 国土交通大臣賞:緑の事業活動部門 (東京都世田谷区)
株式会社メディカルマネジメント松沢
東京パワーテクノロジー株式会社
都立松沢病院
株式会社メディカルマネジメント松沢
東京パワーテクノロジー株式会社 都立松沢病院01
明治12 年から続く歴史
こころの風景を療養の空間に再編する
都立松沢病院の歴史は、明治12 年に上野公園内に「東京府癲狂院」が設立されたことにはじまり、大正8年に当地に移転し現在に至っている。敷地面積、約187,300㎡のうち、約80,400㎡を緑地として保全している。
東京都がPFI事業として実施する「精神医療センター整備運営事業」によって、病院全体を再整備することとなり、これに伴い、新たな土地利用への再編に合わせて、緑の骨格の再構成を行っている。植栽計画では「こころの風景を療養の空間に再編する」ことをコンセプトとし、山・街・里の3つのゾーンに区分し、土地利用特性に応じた景観を創出している。
長い歴史をもつ病院であるだけに、高木だけでも約3400本を有しており、再整備にあたっては既存木を保存することを原則とし、既存の緑の中にはめ込まれるように新館などの施設を建設している。結果、病院の北側の玄関口エリアは、敷地に隣接して走る京王線からの景観も意識し、既存木を生かしながら、地域を代表する緑景観を保持している。
患者さんや病院関係者の憩いの場となる新館周りには、馴染み深い世田谷の里の風景をモチーフにし、既存樹群と竹林や果樹群を数多く配し、療養環境にふさわしい植栽景観を創出している。
今回の再整備を期に、地域住民の声を反映し、病院の外周に地域の憩いの場となる広場を設けたり、プランターの植栽や花壇の手入れをするボランティア活動が発足したりするなど、地域との連携も深めている。
既存樹木を保全しながらの再整備工事に加え、より良い環境や景観を地域に提供し、地域と共に育んでいく取組み、地域のイメージアップに繋がる取組みが高く評価された。