第31回 緑の都市賞

第31回 内閣総理大臣賞:緑の地域づくり部門 (東京都多摩市)
多摩グリーンボランティア森木会/多摩市 多摩中央公園、一本杉公園、和田緑地保全の森、よこやまの道、豊ヶ丘の杜、馬引沢緑地、永山駅前緑地及び亀ヶ谷緑地
多摩グリーンボランティア森木会/多摩市 多摩中央公園、一本杉公園、和田緑地保全の森、よこやまの道、豊ヶ丘の杜、馬引沢緑地、永山駅前緑地及び亀ヶ谷緑地01
豊かなみどりを 次世代に引き継ぐ 仕組みづくり

多摩市は、北は多摩川を境に府中市、南は川崎市と町田市に接し、本年、市制40周年を迎える。日本の高度経済成長時代の象徴とも言うべき「多摩ニュータウン」が市域の6割を占め、首都東京のベットタウンとして住宅の供給に寄与してきた。ニュータウン区域は、計画的にみどりが配置され、「みどり豊かなまち」を形成してきたが、一方で、開発に伴い武蔵野の雑木林の多くを失ってきた。時代の流れとともに、ニュータウン開発で整備された公園緑地の管理水準の維持と、既存樹林の減少が大きな課題となってきた。

このようななか、多摩グリーンボランティア森木会及び多摩市は、市内に残る雑木林を貴重な環境資源として次世代に引き継ぐ活動を、10 年に渡り展開している。わずか3人の市民の呼びかけによってスタートした活動は、市と協働で実施する「多摩グリーンボランティア講座」の修了者を中心に活動メンバーを増やし、現在は市内8箇所の緑地を拠点に、クヌギ・コナラ類の萌芽更新等、雑木林の健全な維持管理に努めている。結果、キンラン、ギンラン、ホウチャクソウ、ナルコユリ等、荒れた森では見られなかった植物が見られるようになった。また、地域の子どもたちを招き、どんと焼き、七夕など、みどりの中で季節を楽しむ活動を行うなど、自然に親しみながら環境を学ぶ機会を提供している。

「環境資源を引き継ぐための仕組みをつくり残すことが、今を生きる私たちの責務」と考えが活動理念であり、多摩市のみどり施策の柱としても位置づけられている。