第30回 緑の都市賞

第30回 奨励賞:緑の拠点づくり部門 (東京都千代田区)
三菱地所株式会社 丸の内パークビルディング・三菱一号館
三菱地所株式会社 丸の内パークビルディング・三菱一号館01
都市の魅力を高め 都市文化を創造する

一号館広場は、高度化した都心業務地区の新しいまちづくりにふさわしい空間を創出することによって都市生活の快適性や都市の魅力を高め、都市の文化の創造の一翼を担うことを目的として生み出された新しい広場です。皇居に隣接する丸の内地区に新しい緑の拠点を設けることで、広域的な緑のネットワーク形成に取り組むと同時に、丸の内で最初のオフィスビルを復元した煉瓦造建築「三菱一号館」に隣接する環境を生かし、都市の喧騒を忘れさせるような緑豊かな憩いの空間となっています。季節感ある緑化計画とすると同時に、三菱一号館の設計者であるジョサイア・コンドルが自らの作品において好んで用いたとされる「バラ」を中心に植栽することで、賑わいと変化のある緑化空間が演出されています。壁面緑化や屋上緑化、ドライミストや保水性舗装などの新しい技術を積極的に導入し、建物と一体となった緑の空間となっています。美術館として利用されている三菱一号館にふさわしく広場にはアートが設置され、広場を取り囲む飲食系施設から滲み出す都市生活の魅力的なたたずまいは、広場の目的である都市の質的・文化的な多様性と深まりをつくる形成しています。

【評価コメント】

対象地が、歴史的にも経済活動の中心地であり国際的なビジネスの中心の地であることから、こうした場所にこそ必要な「緑が与える潤いや癒し」の効果を十分に考慮した空間となっている。都市緑化の意義や重要性を普及啓発する意味でも大きな効果があると考えられる。また、人工地盤上の緑化であることから技術的な面で、様々な工夫が見受けられる。特に壁面や屋上緑化の積極的な導入は、利用者の視点にたって植栽され、この広場の重要な景観要素になっており、都市の緑化デザインの模範として期待される。