第20回 屋上・壁面緑化技術コンクール
第20回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (東京都中央区) | |
株式会社永坂産業・公益財団法人石橋財団 株式会社日建設計 戸田建設株式会社 東京支店 内山緑地建設株式会社 |
ミュージアムタワー京橋 |
本作品は、ハイグレードオフィスと美術館が複合した高さ150m、延床40,000㎡の超高層建築の21~23階(高層階)の緑化である。高層階の3層にわたり、緑が立体的に広がるスキップフロア型屋上庭園に面してオフィスエリアが広がっている。執務室からの眺めを意識して設計されたスキップフロア型屋上庭園は、オフィスで働く人の健康や快適性の向上、都市部超高層でのオフィス環境の新しい姿を実現している。 |
■緑化技術の概要
ミュージアムタワー京橋における技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 681.20㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
800㎏/㎡ 800㎏/㎡ |
階数 | 21,22,23階屋上 (屋上緑化のみ) |
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土壌厚 | 400~1150㎜ | 土壌の種類と 名称 |
人工軽量土 グロウプラス |
土壌の湿 潤時比重 |
0.94(pF1.8) |
植栽数量 | 高木:46本 中木:41本 低木:84株 地被:295㎡ | ||||
潅水方法 | 自動潅水 |
1.新しいワークスタイルを提案する屋上庭園
スキップフロア型屋上庭園は、合計8つのポケット庭園から形成されている。段上に連続し、入れ子状に配置することで、オフィス空間から多くの緑が望めるよう計画されている。立体的なランドスケープ空間の構成によって、緑の効果を最大化し、自然を身近に感じながら働けるオフィス環境を実現している。
2.地域固有の植生を活かした植栽計画
超高層での緑化ということで、人工軽量土による積載荷重条件内での緑化、防水層や防根シートによる漏水防止対策、地下式支柱による防風対策などの屋上緑化技術が施されている。また、養生期には林床A法に改良を加えたUF工法による根回しによって発根促進と健全な根鉢の形成をすべての樹木に行っている。
3.バイオフィリックデザイン 知的生産性を向上させる緑
竣工後に実際にオフィス空間を利用してもらい、就労者の作業効率や創造性にどのような効果をもたらすのか、心理・生理面への影響を評価した。
緑視環境評価では、視野の中に緑が少しでも見える位置の平面分布を作成し、北・西・南向きではオフィス内の90%以上の場所で、窓外部の緑が視野内に入ることが示された。
被験者実証実験では、緑のある空間によって様々な自覚症状が緩和されていることが明らかになった。