第20回 屋上・壁面緑化技術コンクール
第20回 国土交通大臣賞:特定テーマ部門 (東京都新宿区) | |
株式会社フィールドフォー・デザインオフィス 株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン 清水建設株式会社 株式会社日比谷アメニス |
伊勢丹新宿店本館7F日本庭園 |
本作品は、個別相談サロン、既存レストラン、併用スペースに隣接する百貨店の緑化である。 |
■緑化技術の概要
伊勢丹新宿店本館7F日本庭園における技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 295.00㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
1,080㎏/㎡ 1,080㎏/㎡ |
階数 | 7階屋上 (屋上緑化のみ) |
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土壌厚 | 150~1,000㎜ | 土壌の種類と 名称 |
人工軽量土壌: ビバソイル |
土壌の湿 潤時比重 |
0.8 |
植栽数量 | 高木: 26本 中木: 40本 低木: 400本 地被: 90㎡ | ||||
潅水方法 | 雨滴センサーによる自動灌水、タイマー制御 |
1.排水設計
敷地の角2カ所のみの既存ドレンへ向け、テラスを含む躯体全面の水勾配を高精度で再設定し防水更新後、保水排水マットを敷設した。サロンを仕切る塀は、排水が途切れぬよう、排水層上部へL型擁壁を打設し、底板上の緑化とともに、高木植樹のため比重0.4~の水孔石石組みで客土高さを用意し、遠景の地盤高を上げて地表面の高低差に変化を与えた。
2.自然の姿を提供する細やかな演出
庭奥の筧からの水は、自動灌水管を分岐し、時限的に水受石に注ぐ。時折、野鳥が水飲みに現れる等、細やかな自然の姿が演出される(写真上)。水受石から細かな水流となって、蹲へ注がれた後の余剰水は、蹲周辺のホトトギス、花石菖、獅子頭等の植栽基盤へ浸透し、湿性植物に適した環境へ寄与する。また、南端から蛇行して流れ入る枯山水の河口部は地苔を張り、時限的にミストを噴霧し、庭園の四方が囲まれた立地特性も利して安定的な湿度を保ちながら朝靄のような幻想的空間と動的効果を図った(写真下)。
3.‘令和時代の庭’を具現化する植栽
供用スペース近景のゴロタ敷は河原を見立て、サクラソウ、河原撫子等の植替え管理を図り、石組みではセッコク、風蘭、松葉蘭等を植付け、日本の多様な風景を形成した。更にプンゲンストウヒ、タマモクマオウ等の海外植物も織り交ぜ、多様な植生が尊重しあって幾十にも折重なりながら調和を保っている。