第19回 屋上・壁面緑化技術コンクール
第19回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (神奈川県横浜市) | |
東神開発株式会社 東急不動産株式会社 中村拓志&NAP建築設計事務所 株式会社東急設計コンサルタント 西松建設株式会社 株式会社石勝エクステリア |
横浜北幸ビル |
本作品は、低層階にイベントホール、カルチャースクール、4階から上層階に210戸の分譲マンションを配した複合施設の緑化である。低層階は地上部の街路樹と連動するような樹木が林立するテラスを配し、1~4階までのステップガーデンが分譲マンションの基盤となり、日常と緑の融合による豊かな生活環境を印象づけている。 |
■緑化技術の概要
横浜北幸ビルにおける技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 1,160.47㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
178.6㎏/㎡ 170.9㎏/㎡ |
階数 | B1~3階屋上 (屋上緑化のみ) |
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土壌厚 | 100㎜~1,000㎜ | 土壌の種類と 名称 |
人工軽量土壌 グロウプラス |
土壌の湿 潤時比重 |
0.94t/㎥ |
植栽数量 | 高木:46本 中木:222本 低木:3,412本 地被:8,881pot+367㎡(芝、マット) | ||||
潅水方法 | タイマー制御式自動潅水(電源式2・3階、電池式1・4階) |
1.緑の立体的なつながりに配慮した緑化
本作品は横浜駅に近い新田間川から道路を挟んで平行に主要な緑を展開している。そこで、川と川沿いの桜から本作品の1階~4階まで水と緑をつなぐように連続的に緑を配しつつ、1・2階の南から東にかけての軒には約200mに渡る下垂型緑化を施し、パラペットを超えて下垂するよう誘引資材を設置して外観的にも緑のつながりに配慮した。
2.歩きながら緑を楽しむための螺旋空中回廊
2階~3階間に設置した螺旋空中回廊は、街並みと屋上緑化(ガーデン)を見下ろせる体験を視覚的に想起させ、来訪者を呼び込むウォーカブルなガーデンという特徴をもたらした。屋上緑化を立体的に楽しむことができる空中回廊は、施工前の入念な製作図の検討と試験的な組み上がり確認、柱の基礎と逆梁構造の中で保たせるための植栽基盤の検討と高木の材料検査、搬入の検討により実現した。
3.徹底した植栽基盤監理
各階において、植栽の生育を考慮し、黒土と人工軽量土数種の有効水分保持量・透水係数、保肥性などの物理的特性と、PH値や含有養分の割合などの科学的性質を比較し、条件に合う土壌を採用した。さらに、荷重条件と客土厚確保を前提として、支柱強度を確保するための構造検討を建築設計・施工者と綿密に行った。耐風圧を高木1本1本で計算した結果、風条件が不利な場所についてはワイヤー支柱の追加や土壌における粘性を考慮した根鉢のブレを抑えるベルトを追加で設置するなどの対策をとった。