第18回 屋上・壁面緑化技術コンクール
第18回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (東京都江東区) | |
株式会社竹中工務店 株式会社久米設計 江東区 株式会社スタジオテラ 東光園緑化株式会社 |
江東区立有明西学園 |
本作品は、臨海部に位置する義務教育学校の緑化である。高層マンション群の建設が進む有明地区は、新しい街並みが形成されつつある地域でもある。この地は、かつて都内最大の貯木場を持つ地域であったことから、地場産業である木材を活かしたシンボル性の高い学校をつくることが求められた。そこで、鉄筋コンクリートを含む耐火木構造建築として計画し、子どもたちが生活の大半を過ごす普通教室、移動・交流の場を中心に、木構造・木質化を行い、木のぬくもりを活かした校舎づくりが行われた。 |
■緑化技術の概要
江東区立有明西学園における技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 20,184.66㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
240㎏/㎡ 86~295㎏/㎡ (平均240㎏/㎡) |
階数 | 2、5階屋上 (屋上緑化のみ) |
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土壌厚 | 280~580㎜ | 土壌の種類と 名称 |
人工軽量土壌 真珠岩パーライト |
土壌の湿 潤時比重 |
0.67㎏/ℓ |
植栽数量 | 高木: 45本 中木: 668本 低木: 6,291本 地被: 444㎡ | ||||
潅水方法 | 自動潅水システム、雨水樽による手撒き |
1.海岸立地に配慮した植栽計画
計画地は東京湾に近く、周辺に高層マンションが立ち並ぶことから、風や潮害による樹木の生育不良が懸念される地域である。そこで、①風の影響を緩和する生垣、②海岸立地に適した植栽計画、③風に対応した植栽計画、④土地の乾燥対策を取り入れた植栽計画とした。
2.下層に耐火木構造の教室がある屋上緑化の実現
都市部の大型学校建築において、木構造を実現させるため、耐火認定を取得している耐火集成材「燃エンウッド」を採用した。その耐火集成材「燃エンウッド」の梁に適度の応力集中を避けるため、軽量土壌を使用し、屋上部の土被りを最小限に抑えることで、積載荷重の低減を図った。そして、鉛直荷重を支持できる耐火集成材「燃エンウッド」の柱の直上廻りに高木を配置することで、高木に適した土被りを確保することが可能となり、豊かな屋上庭園を実現した。
3.都心の学校で豊かな自然による環境教育の実現
東京都心の中でも、豊かな植栽とビオトープによる多様性のある緑化の実現、勾配屋根に降った雨水を樽に溜めて、学級菜園の水やりに利用するなど、環境学習の促進を目指している。