本作品は、自然の「あかり」をお手本に、照明器具の企画・開発・製造・販売を行っている研究開発施設の緑化である。敷地は大阪市内の住宅地にあり、街に対しては“緑段のPARK”として、まちのスケールと調和させ、ワークプレイスに対しては“各階のGARDEN”として、適度なヒューマンスケールとリアルな自然との関わりを創り出した。 各階バルコニーは、セットバックさせることで、日光や雨水を積極的に享受しながら植栽が健全に成長することを可能にしている。植栽は、超速硬化ウレタン塗膜防水を施したバルコニーに、人工軽量土壌を詰めた軽量メッシュプランターを置くだけのシンプルな納まりとし、施工性とメンテナンスにも配慮している。 バルコニーの奥行は3.5m、高さは3m確保しており、自然光、風、緑を感じながら思考を巡らしたり、気分転換を気軽にすることができる。屋上広場では、緑のレイヤー越しに都市風景を眺めることができる。高木をヤマザクラに統一したため、春は入社式や花見などの季節のイベントを楽しむことができる。植栽は、淀川水系に自生している樹種を中心に、四季を感じられる樹種を選定している。 周辺地域と緑を共有し、潤いのある景観を創出していること、社員自らが植物の成長を楽しみながら、植物を守り、育てていることなど、緑化を前提とした建物の設計が評価された。 |