第16回 屋上・壁面緑化技術コンクール

第16回 国土交通大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都江東区)
株式会社IHI
三菱地所株式会社
株式会社三菱地所設計
株式会社大林組
イビデングリーンテック株式会社
豊洲フォレシア壁面緑化
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化01 全景 (撮影:FOTOTECA)
全景 (撮影:FOTOTECA)
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化02 (撮影:FOTOTECA)
(撮影:FOTOTECA)
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化03 立面図
立面図

 本作品は、両隣の豊洲フロント、豊洲キュービックガーデンとともに、3街区で一体性のあるまちづくりを実現したオフィスビルの壁面緑化である。地区の中心軸となる晴海通り、生活軸となるけやき通りに面し、「職・住・学・遊」の機能が集まる豊洲の回遊性を高め、多種多様な日常生活を彩り、緑豊かな親しまれるパブリック空間を創出している。緑化システムは、メッシュ金網の箱に人工軽量土を充填した不織布を格納する形式の緑化パネルを採用した。パネル寸法や植栽密度が調整できるため、建物角部のR形状に沿うよう割付けを検討し、現場でも植栽密度を調整し、より高い初期完成度を目指した。
 本作品は、『Green Fall』というコンセプトのもと、緑化率は敷地面積の44%を確保し、屋上緑化・壁面緑化・地上部緑化によって、緑が建物上部から湧きだし、流れおちて地上部へ広がるイメージを全体で形成している。延長約120mの壁面を包むように緑化し、地上部のケヤキ列植等とともに、豊洲のまちなみにダイナミックで清々しい緑あふれる街路空間を創出したことが高く評価された。

■緑化技術の概要
豊洲フォレシア壁面緑化における技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 777.00㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
80㎏/㎡
80㎏/㎡
階数 -
土壌厚 85㎜ 土壌の種類と
名称
いこいの土(人工軽量土壌) 土壌の湿
潤時比重
0.92
植栽数量 地被: 777㎡
潅水方法 点滴式潅水ホース、100V電源コントロールタイマー制御
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.建築全体を用いた緑化による「緑の滝」の表現
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化
「湧き出す緑」 (撮影:FOTOTECA)
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化
「流れおちる緑」 (撮影:FOTOTECA)

『Green Fall』というコンセプトのもと、屋上・壁面・地上部を通して、緑が湧きだし、流れおち、地上に広がるイメージを展開している中で、本作品は『あふれだす緑』として、街に開いた緑を形成している。高さ約6m、延長120mの帯状の緑化面を持つことから、反物に見立てた着物の「流水紋」、日本庭園の「州浜」を想起させるやわらかな曲線をデザインモチーフとして、運河に囲まれ、「豊かな洲」となるように名付けられた豊洲の場所性を意識したデザインとしている。


2.寸法と植栽密度の調整が可能な緑化パネルを採用
株式会社IHI 三菱地所株式会社 株式会社三菱地所設計 株式会社大林組 イビデングリーンテック株式会社 豊洲フォレシア壁面緑化
R形状の仕上がり

0採用した緑化システム「いこいの壁」は、寸法調整や植栽密度調節ができることが特徴である。建物角部のR形状は、緑化パネル本体の寸法幅を調整し、ユニット同士の隙間ができる限り小さくなるよう割付けを行った。また、緑化パネルを取り付ける建物外壁は、押出成形セメント板・RC躯体の2種の仕様からなり、緑化パネルをアスロック側とRC躯体側とで縁を切る収まりを検討した。これにより緑化パネルは、寸法・固定金具位置の異なる全33種類の規格から構成されている。この緑化システムは、10㎝間隔での密度の高い植栽が可能なため、樹種別に密度調節や現場での調整を行い、高い初期完成度が可能となった。また、植栽基盤の容量が多いため、植物が根詰まりにしくい点、パネルの交換が容易な点も維持管理作業の軽減に寄与している。


3.灌水範囲の区分けによって植栽環境の違いに対応
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灌水範囲色分図

壁面緑化は、北・東・南の各方角に植栽が面し、高さが約6mある。方角や高さによって土壌水分の乾燥速度が異なるため、灌水範囲を8つに分け、それぞれにタイマーを設置し、生育環境に合わせた灌水計画が立てられるようにしている。