第14回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第14回 日本経済新聞社賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都港区)
日本土地建物株式会社
清水・坂田・日土地建設JV
株式会社杉孝
日土地虎ノ門ビル
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル01
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル02
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル03

本作品は、東京都港区にあるオフィスビルで、地上から7階フロアレベルまでの壁面、約240㎡を緑化したものである。
本ビルでは、20を超える省エネ・環境配慮技術を採用しており、国内外の様々な環境認証を同時に取得している、環境配慮型オフィスビルである。省エネ性能を追求するだけでなく、オフィスワーカーや周辺で活動する人々に自然や時間の流れ、季節の移ろいを感じてもらうことも環境配慮の重要な要素と捉え、基準階エレベーターホールに港区の協定木材を利用した無垢材フローリング(栗材)の採用、全ての居室に外光が差し込む平面計画、ドライミストによる周辺街区の冷却効果等に取組んでいる。
緑化については、10種類を超える多様な植栽構成となっている。地表面は10m超の高木で、周辺に木陰を提供し、最上階には屋上テラスを設け、オリーブとフィリフェラオーレアの植樹を行いアメニティ性を高めている。また、壁面緑化は地上南面に31mの高さまでルーバー状に多様な植栽を施すことで、足元廻りだけでなく、緑を空中にまで拡げる工夫を行っている。
テナントビルにおいては、「緑」は管理負担の増につながるものととらえられがちであるが、本作品では、「緑」を含む「環境配慮」を積極的に導入することにより、付加価値を高めている。このような「環境配慮」への意欲的な取組みに加え、手入れのしやすさや、歩行者の目線を意識したデザイン等が高く評価された。

■緑化技術の概要
日土地虎ノ門ビルにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 240 ㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
150kg/㎡
150kg/㎡
階数
土壌厚 160mm 土壌の種類と
名称
軽量土壌 土壌の湿
潤時比重
0.8
植栽数量 地被:240 ㎡
潅水方法 タイマー制御自動灌水(雨水再利用水利用)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.設備バルコニーと組み合わせ、管理の行いやすさを追求した高所壁面緑化の実施
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル

竣工後の植栽管理を考慮し、各階の設備バルコニーから直接手入れの出来る仕組みとすることで、定期的なメンテナンスを容易にした。壁面緑化をルーバー状のステンレスパネルボックス内に納めることで、植栽の入れ替え、剪定を特殊な設備を用いることなく可能としている。この形状により、31mという高所でありながら、足場等を組む必要のない管理が可能となっている。ルーバーは、熱負荷軽減に効果を発揮するとともに、室内側からもガラスを通して光と緑を感じることが出来、アメニティにつながっている。


2.透水シートを利用した土壌の飛散防止、雨水再利用水を利用したドリップ方式の灌水設備の採用
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル

地上31mという高所のため、水・土の周辺への飛散が懸念された。そのため、透水シートを利用し土壌を押さえる工夫を行うことにより周辺への土壌飛散の軽減を図る工夫を行った。また、灌水設備については、ドリップ式の灌水方式を採用することにより効率的且つ均一に水分を補給している。給水の水は雨水再利用水を使用しており、資源の再利用に努めている


3.周辺環境を意識した多様な植栽計画
日本土地建物株式会社 清水・坂田・日土地建設JV 株式会社杉孝 日土地虎ノ門ビル

周辺への緑環境の向上を意識し、低層部には多様な植物を植える計画を行い、オフィス街の均一な街並みに植栽の力で変化と潤いを与えることを意図した。