本作品は、東京都品川区にある事務所ビルで、4,6,8 階の屋上につくられた617 ㎡の屋上庭園で、荷重は640kg/㎡である。特徴的緑化技術として、①特徴ある緑化計画と持続性のある維持管理技術、②オフィスワーキングと屋上緑化をつなぐ技術、③生物多様性に配慮した緑化の3点をあげている。 本作品は、働くことと緑とを密接に関係させることをコンセプトとして計画されており、建築物の配置を工夫し、地上部に緑のオープンスペースを設け、4・6・8F と段丘状に緑を連続させ「緑の丘のビル」を表現している。緑地を恒常的にワーカーに利用してもらえるように、LAN・コンセント対応のハイカウンターや堀込ベンチ等を設け、「庭で働く」ことを可能としている。また「養生スペース」を設け、タイムリーな植物の入れ替えを可能とすると共に、草花を切り出しトイレに生けるなどし、自然とのつながりを演出している。さらに、「生き物のポケットパーク」として環境向上に貢献することを目指し、調査に基づき誘致目標を設定し、鳥や蝶の好む植物を導入すると共に、樹名板に「小鳥を呼び込む木」「蝶を呼び込む木」を表現し、ワーカー生物多様性に対する理解を高めるための試みを行っている。 従来、テナントビルにおいては、「緑」は管理負担の増につながるものとして敬遠されがちであったが、本作品では、「緑」の価値や意味を利用者に伝える取組みを積極的に行っており、それにより、本作品の「緑」がビルにもたらす付加価値を高めている。このようなソフトと一体となった緑の設えと活動が高く評価された。 |