本作品は、早稲田大学のキャンパスの耐震改修に伴う明治通り側の外壁改修と合わせて新設された120㎡の壁面緑化である。特徴的な緑化技術として①地域性樹種のみを採用し早稲田地区の生態系への調和と「エコロジカルネットワーク」を強化、②豊かな緑量と容易なメンテナンスを実現する多段式プランター緑化システム、③歩行者体感温度2℃低下の実現とヒートアイランド現象緩和および都市景観の向上をあげている。
本作品では、緑豊かで心地よい都市との接点をつくることを目的として、校舎の地上部付近に壁面緑化を設置したものである。植栽にあたっては、「新宿区緑の基本計画」の中での「７つの都市の森」としての位置づけを踏まえ、みどりの充足と早稲田の生態系への調和をめざして、周辺地域の「森」や「風のみち」に生育する植物調査を元に植栽種を選定している。緑のボリュームを演出するために低木類を採用し、格子状に組んだ下地鉄骨にプランターを３段に積み上げる緑化を実施している。プランターは、軽量な海洋用フロート技術を利用したEPS製となっている。また、潅水は、最上段のみに設置し、下段は自然落下で供給している。更に、温熱シミュレーションでは、体感温度が2度低減することについても確認を行っている。
大学キャンパスの壁面を、基本的な技術を堅実に応用して緑化していること、室外機からの風の分散などきめ細かい配慮ある点、温熱シミュレーションの画像は具体的で分かりやすいことなどが評価された。