本作品は、事業再編によって新設された事務所ビル・倉庫/配送センターからなる複合施設の4F および、最上階屋上に設けられた5,586㎡の屋上庭園で、荷重は、480kg/㎡である。特徴的な緑化技術として①周辺植生を取り入れた屋上緑化の実現と維持管理、②業務での集中につながるリラックスを生む中庭の緑、③内外をつなげる立体的な屋上緑化をあげている。
本作品では、業務への高い集中を生み出すためには、空間体験の変化が質の高いリラックス効果を生むとの考え方から、休憩や昼食、手洗いなどの日常の何気ない移動を大切に考えている。中庭の屋上緑化を各階から楽しむことができるよう手洗いやEV ホールとの動線も考慮し配置や通路内の見えかたを設計している。また、建物の断面を地形としてみたて、2・3階の明るい中庭は、丘陵のコナラ・クヌギの雑木林、B1中庭・東庭は、台地のモミジ林、西側テラスは、台地のヤマザクラ・ミズキに見立て、西庭のケヤキにつなげている。周辺施設の圧迫感の軽減にも考慮しており、植栽の種類に応じて必要な植栽基盤厚を適切に設定するとともに、植栽管理ガイドラインを設けるなど設計意図を反映した維持管理を実現するための配慮が行われている。
緑化設計と建築設計が連携し魅力ある立体的なリラックス空間を創出しており、また、上から見る樹冠の広がり、囲われ感のある樹木群など様々な景観を創出している点を技術的な裏付けのもと実現しており、「植栽管理ガイドライン」の策定を行うなど、維持管理も考慮した取組みが評価された。