本作品は、新設の商業施設5・6・7 階の屋上に設けられた屋上庭園である。作品面積は362㎡、荷重は1,500kg/㎡である。特徴的な緑化技術として①生物多様性保全に配慮した緑化、②樹木固定に関する対応、③景観や生態系に配慮した維持管理をあげている。 本作品では、施設に「こんもりとした森」がのっているような豊かな景観を演出するため地上30m の屋上部に高さ8m 内外のケヤキやクスノキを植栽し、併せてチョウや野鳥が好む実物、花物などの植栽を実施し、竣工後より継続的にモニタリング調査を実施している。また、高所に植栽した高木の強風対策として、特注の地下支柱を設置し、樹木同士のワイヤー連結や追加ワイヤー張りを行うなど、台風時の補強のための工夫を行っている。管理では、透かし剪定を基本とし、中央側の樹木は野鳥の休憩のために葉が多めとなるように管理するとともに、総合的な病虫管理を行い農薬の使用を最小限に留め、有機質の堆肥や肥料を鋤き込むことで、持続可能な土壌環境をつくり、植物の抵抗力の向上を図っている。 ファッション性の高い交差点の立地条件を活かし、「森」のような外観まで考慮した優れた作品であり、生物多様性保全への配慮、台風対策にも配慮した安全性のための樹木固定技術などへの取組みが高く評価された。 |