本作品は、キャピトル東急ホテルの建替えで新築されたホテル・オフィス・住宅からなる複合ビルにおいて2階、3階、4階に設けた2,447㎡の屋上庭園で、荷重は1,000kg/㎡である。特徴的な緑化技術として、①既存の環境資産を活かす配置計画、②立体的な緑化の基盤形成、③持続的な環境形成への取組をあげている。
本作品では、建築物の基壇部分が隣接する山王日枝神社の丘の一部をなす従前の建物配置計画を継承しつつ、低層部に人工地盤上の緑化を大きく取り入れることで、より一体性を高めた景観を創出している。また、植栽基盤の土層厚を概ね1.0ｍと大きく確保することで、植栽の生育の安定化を図っている。さらに、地区計画で定められた歩行者動線は、ホテル利用者のみならず一般の市民も利用可能で、緑豊かな空間を多くの人々が共有することを可能にしている。維持管理については、持続的な環境形成を視野に入れた中期育成管理計画を策定し、関係者による巡回や調整会議を計画的に行っている。
周辺の社叢等の環境と相俟って、立体的で緑豊かな環境を具現化しており、大水面、起伏ある地盤、石組等にも意欲と技術力が表出している。持続的な環境形成に向けた維持管理の体制・内容も模範的であることなどが高く評価された。