第11回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール
第11回 環境大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都港区) | |
ヒューリック株式会社 安田不動産株式会社 東京建物株式会社 株式会社日建設計 大成建設株式会社 株式会社日比谷アメニス |
虎ノ門ファーストガーデン |
虎ノ門ファーストガーデンは東京都港区虎ノ門に立地する12 階建ての環境配慮型のオフィスビルである。本作品は4 種類の緑化システムを組み合わせ、地盤面から9階レベルまで達する総面積959㎡の大規模な壁面緑化を行っている。 |
■緑化技術の概要
虎ノ門ファーストガーデンにおける技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 959 ㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
65kg/㎡ 65kg/㎡ |
階数 | |
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土壌厚 | 200mm~ | 土壌の種類と 名称 |
屋上:再生軽量土 2~8F:多孔質軽量土 1F:黒土+バーク堆肥+パーライト |
土壌の湿 潤時比重 |
0.8 |
植栽数量 | 高木:0 本 中木:0 本 低木:0 本 地被:959 ㎡ | ||||
潅水方法 | 点滴式灌水ホース、電気制御タイマー |
1.4種のシステムを用いた多様な壁面緑化
4種類の壁面緑化システムを使い分け、植栽の多様性を表現している。まず、1階の北面・南面に歩行者視線を意識した「基盤一体型」の壁面緑化がなされており、ヒューマンスケールに合った設置高さを確保し、人の視線を意識した意匠と規格が両立されている。「プランター一体型」の壁面緑化システムは、2~8階に渡り、約120㎡の大規模緑化となっている。登攀植物は、常緑性の長尺植物の中から、性質が強健で、葉色の違いによりデザインを演出できるものとして、ニシキテイカ、トウテイカカズラ、カロライナジャスミンが植栽され、本物件の緑化のシンボルとしての役割を担っている。このほかに、「登攀補助材緑化」「ワイヤー緑化」の2 種類の緑化システムが採用されている。これらは長尺物を用いた初期緑化の向上に加え、将来的な植物の成長による、意匠の変化が楽しめるものとなっている。
2.プランター一体型緑化と登攀性長尺植物による垂直方向への緑被展開
大規模壁面緑化を行ったプランター一体型システムはプランターと一体化したフレーム部分のみならず、上下階のフレーム間も長尺植物で緑化し、図示のように、プランター部が二段となる。下段のプランターがフレーム部の緑化(ヘデラカナリエンシス)、上段のプランターがアルミ中空ロッドに添わせて上階へ登攀させる緑化(ニシキテイカ等)である。プランターの固定は上下段とも、H鋼架台に固定している。植栽基盤は多孔質軽量土壌に高有機土壌活力肥料を混ぜ、排水促進にパーライトを敷いている。
自動灌水装置の制御は1箇所にまとめ、電磁弁の先で配管を各階に分岐させているため、潅水のメンテナンス管理も行いやすくなっている。
3.『京都議定書目標達成特別支援無利子融資制度』を活用した不動産業界第一号案件
環境省の実施する「京都議定書目標達成特別支援無利子融資制度」を活用した不動産業界第一号案件の物件である。この融資制度は、一定期間内にCO2排出原単位の改善、またはCO2排出総量の削減を制約・達成することを条件としており、本物件は、3年以内に6%以上のCO2排出原単位の改善をするという高い目標を掲げている。