第11回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第11回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (東京都港区)
プルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン株式会社
野村ビルマネジメント株式会社
鹿島建設株式会社
株式会社ランドスケープデザイン
株式会社プレイスメディア
かたばみ興業株式会社
麻布グリーンテラス レイヤードステップガーデン
プルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン株式会社 野村ビルマネジメント株式会社 鹿島建設株式会社 株式会社ランドスケープデザイン 株式会社プレイスメディア かたばみ興業株式会社 麻布グリーンテラス レイヤードステップガーデン01

麻布グリーンテラスは東京都港区のオフィスビルであり、レイヤードガーデンは3 階から6階のルーフ部分及び屋上階に作られた1,523㎡の階段状の屋上庭園である。
近隣の有栖川記念公園やフランス大使館の緑地など「南麻布の豊かな緑の環境を受け止めるステップガーデン」というコンセプトのもと3階は竹林、4階は雑木、5階は草むら、6階は眺望、7階は天空という異なるテーマを設けて多彩な植栽を行うことで、眺望の良い上階は低木や地被類を中心に軽快な植栽を、下階には高木や竹を中心に重厚な植栽を行うことで緑量を増やしている。
また、通路、木製デッキ、飛び石などを浮き床構造にするとともに、植栽帯の立ち上がりに従来のコンクリート構造より軽量で面的な排水により根腐れを起こしにくいメッシュ状のパネルを使用するなど軽量化の工夫を行っている。
ステップガーデンはオフィスからの眺望や散策を楽しめるだけでなく近隣からの視線をゆるやかに遮るスクリーンや眺望の額縁として機能するなど在館者の快適性を高める役割をはたしているほか、地域に自生する植物を多く採用することで生態系ネットワークに配慮した植栽計画を行うなど、屋上庭園の魅力を活かした環境型オフィスビルの先進事例として高く評価された。

■緑化技術の概要
麻布グリーンテラス レイヤードステップガーデンにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 1,523.74 ㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
350kg/㎡
338kg/㎡
階数 3F~6F 屋上及びRF
土壌厚 300~600mm 土壌の種類と
名称
軽量人工土壌ボストンファーム 土壌の湿
潤時比重
0.7~0.8
植栽数量 高木:49 本 中木:334 本 低木:312 ㎡ 地被:952.8 ㎡ 芝:250 ㎡ 竹:260 株
潅水方法 自動潅水システム(点滴式)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.魅力的な空間構成と排水対策
プルデンシャル・リアルエステート・インベスターズ・ジャパン株式会社 野村ビルマネジメント株式会社 鹿島建設株式会社 株式会社ランドスケープデザイン 株式会社プレイスメディア かたばみ興業株式会社 麻布グリーンテラス レイヤードステップガーデン
■5階 断面図
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■グリーンパネル部断面構造

屋上緑化の課題である荷重については、軽量土壌を採用した上で、通路・木製デッキ・飛石等を浮き床構造にする事とともに、植栽帯の立ち上がりにメッシュ状のパネル「グリーンパネル」を採用する事で、従来のコンクリート構造より軽量化している。また、グリーンパネルを加工し、土壌厚に変化をつけることで、荷重制限のある屋上植栽でも自然な起伏に富んだ空間を構成している。
重量とともに屋上緑化の課題とされる排水性は、グリーンパネルが従来の構造物のように「点」での排水ではなく、「面」での排水が可能なため、良好な排水性を維持し、根腐れを防ぐことができる。また、近年のゲリラ豪雨対策として、各階屋上にはドレーン以外の予備の雨水排水設備としてオーバーフロー管はもとより、フロアより低いレベルでスカパーと呼ばれる排水スリットを設け、万が一にも室内に浸水しないよう計画されている。


2.独創的なステップガーデンの構成
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■平面図

各階の室内からそれぞれ異なったルーフガーデンが楽しめるよう、フロアのアイデンティティを考慮し樹木の選定を行っている。空間の開放性に即して眺望の良い上階は低木や地被類を中心に軽快な植栽を、下階には高木や竹を中心に重厚な植栽でボリュームを変化させている。また、季節によって変化する部分と変化しない部分のメリハリなども考慮し、建物内外いずれからも四季を通じて様々な美しい景観をつくりだしている。