第11回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第11回 国土交通大臣賞:屋上緑化部門 (東京都品川区)
積水ハウス株式会社
株式会社日建設計
大成建設株式会社 一級建築士事務所
御殿山プロジェクト
積水ハウス株式会社 株式会社日建設計 大成建設株式会社 一級建築士事務所 御殿山プロジェクト01
積水ハウス株式会社 株式会社日建設計 大成建設株式会社 一級建築士事務所 御殿山プロジェクト02
積水ハウス株式会社 株式会社日建設計 大成建設株式会社 一級建築士事務所 御殿山プロジェクト03

御殿山プロジェクトは東京都品川区に立地する4 棟の建物からなる複合施設であり「御殿山の原風景の再生」というコンセプトのもと、徳川将軍家の品川御殿が存在した品格ある丘地形を取り戻すことを目指して屋上、壁面あわせて約6,030㎡の大規模な緑化が行われている。
屋上レベルからは、かつて御殿山から眺めることができた「みどり越しに眺める風景」の再現をめざし、4棟すべての建物に屋上緑化が設置されている。複数階にまたがる連続した屋上の緑は、建物の圧迫感を軽減し地上部緑地と調和しながら立体的な緑景観を形成しており、パーゴラやベンチ、芝生広場等の施設が設置された屋上庭園は地域住民やオフィスワーカーの憩いの空間として活用されている。
また、計画地は丘地形のためコンクリート擁壁や法面を多段に組み合わせた構造となっているが、自然石を組み合わせた大規模な壁面緑化や、長尺植物による壁面被覆、免震スリット部への緑化を行うことで緑による崖線の景を演出している。
植栽植物は隣接する関東閣の緑地などとの生態系ネットワークを図るため地域の潜在自然植生であるイノデ-タブ群集を基本に誘鳥木を取り入れ、生物多様性に配慮した植栽を行うことで地域の自然再生に貢献する緑量豊かな緑化空間を創出している。
屋上緑化と壁面緑化を積極的に行うことで立体的な緑の景観を創出し、地域の自然再生に貢献する大規模な緑地を創出している点が都市再生における緑地創出の好例として高く評価された。

■緑化技術の概要
御殿山プロジェクトにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 6,056.54 ㎡(A~D計) 設計上の荷重条件
実際の荷重
100~480kg/㎡
100~480kg/㎡
階数 A:6,7,8,9,R 階屋上
C:2,3,5 階屋上
B:1,3,R 階屋上
D:1,3,R 階屋上
土壌厚 100~600mm 土壌の種類と
名称
人工軽量土壌 土壌の湿
潤時比重
0.8
植栽数量 高木:23 本 中木:1,133 本 低木:10,566 本 地被:3,008.2 ㎡
潅水方法 自動灌水システム(ドリップ式チューブ)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.周辺と連続する立体的な緑の景観を形成する屋上・壁面緑化

屋上レベルからは、かつて御殿山から眺めることができた「みどり越しに眺める風景」の再現をめざし、4棟すべての建物に屋上緑化が設置されている。複数階にまたがる連続した屋上の緑は、建物の圧迫感を軽減し地上部緑地と調和しながら立体的な緑景観を形成している。
また、計画地は丘地形のためコンクリート擁壁や法面を多段に組み合わせた構造となっているが、自然石を組み合わせた大規模な壁面緑化や、長尺植物による壁面被覆、免震スリット部への緑化を行うことで緑による崖線の景を演出している。


2.地域住民、オフィスワーカーの快適な癒しの空間となる広大な空中庭園

屋上庭園にはパーゴラ、ベンチ、テーブル、芝生広場等を設置し、また多様な植栽による四季の彩りにより地域住民やオフィスワーカーの癒しの場となっている。その他目隠しとしての緑や外部からの景観を向上する緑など、多様な形で屋上緑化を設置している。広大な屋上緑化はヒートアイランド抑制にも貢献している。


3.生物多様性に寄与する屋上植栽計画
積水ハウス株式会社 株式会社日建設計 大成建設株式会社 一級建築士事務所 御殿山プロジェクト
■全体平面図

植栽計画にあたっては地域の潜在自然植生イノデ-タブ群集の樹種に、自然との共生を目指す樹木植栽計画を融合させ、誘鳥木等を取り入れた生物多様性に配慮した植栽計画としている。