都市型菜園「アグリス成城」は小田急線の複々線化事業により生まれた線路上の人工地盤5,103㎡を会員制の貸菜園として整備したものである。道具や肥料が完備され、スタッフが常駐する菜園は、本年9月現在で貸し出し区画数が116、318名の会員が登録している。
人工地盤上での菜園を実現するため、軽量で野菜の栽培に適した専用土壌の開発を行っているほか、屋上緑化用貯排水マットの全面設置、スラブ面への横引き暗渠管設置、ドレイン確認用の縦断溝の設置などを行い、植栽基盤整備後も人工地盤の排水機能を維持する技術的工夫を行なっている。
閑静な住宅街に立地する本作品は、菜園外周園地の花壇整備や、使用する菜園資材の指定を行い、見栄えの良さを考慮した植え付け計画を会員に呼びかけることで、地域の景観向上に役立つ美しい菜園風景を実現している。線路上の人工地盤を市民農園として活用するユニークなアイディアが、今後、緑化の推進が期待される鉄道敷緑化の好事例として高く評価された。