第6回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第6回 国土交通大臣賞:壁面・特殊緑化大賞 (千葉県浦安市)
設計:株式会社 アール・アイ・エー
施工:西松建設 株式会社 東関東支店
施工:株式会社 日比谷アメニス
資材・工法開発:東邦レオ株式会社
新浦安駅前プラザIL MARE
新浦安駅前プラザ『マーレ』壁面緑化
設計:株式会社 アール・アイ・エー 施工:西松建設 株式会社 東関東支店 施工:株式会社 日比谷アメニス 資材・工法開発:東邦レオ株式会社 新浦安駅前プラザIL MARE 新浦安駅前プラザ『マーレ』壁面緑化01

新浦安駅前プラザIL MAREは、浦安市では初のPFI事業で建設された複合施設で、行政サービス施設や保育園、駐輪場等で構成されている。立体基盤型の緑化ユニットにより壁面緑化(約270㎡)が設置されており、周辺に存在する緑と連携した新たな緑の帯を建物全面にわたり展開し、街に潤いのある表情を提供している。
基盤造成緑化パネルは、植栽の水分ストレスや日射量不足等の環境圧に耐えられるよう、設置前に耐性を高める養生を行うことで、竣工時からのボリュームある緑化を可能とした。また、水分の均一供給のため点滴方式と導水シートを採用したほか、海浜地区での塩害に配慮した樹種を選択し苗を配置している。
維持管理面においてはモジュールに分化したことでパネルの取替えが容易になり、病害の拡大予防に効果的な構造となっている。
基盤造成緑化パネルの技術的な工夫に加え、駅前広場の大きく生長した高木や隣接するシンボルロードの緑など、作品周辺にある既存の緑と本作品が緑のネットワークを形成している点が高く評価された。

■緑化技術の概要
新浦安駅前プラザIL MARE 新浦安駅前プラザ『マーレ』壁面緑化における技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 270 ㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
40kg/㎡
階数
土壌厚 90mm 土壌の種類と
名称
植栽ブロック 土壌の湿
潤時比重
0.4
植栽数量 高木: 中木: 低木: 地被:270 ㎡
潅水方法 点滴式潅水ホース、ソーラーコントロールタイマー制御
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.モジュール化した基盤造成緑化パネルを採用し、事前養生による環境ストレスへの馴化を実施

植物の環境圧への耐性を高めるために、緑化パネルを小モジュール化し、植物を現場設置前に事前に植え付け発根促進している。これを、専用圃場にてハウス内に養生し、11月~1月の低温期に葉を低温馴化させる期間を設け、出荷前に水分供給を減らし耐性を持たせるなど出荷先の環境圧に対する耐性を高める養生を実施した。小モジュール化することで、人力による持ち運びが容易となり、緑化パネルの圃場生産が可能となり、かつこの馴化期間を設けることで、基盤へ根が十分に伸張し、水分ストレスを緩和させることが可能となった。


2.水分の均一供給のための点滴方式と導水シートの採用
設計:株式会社 アール・アイ・エー 施工:西松建設 株式会社 東関東支店 施工:株式会社 日比谷アメニス 資材・工法開発:東邦レオ株式会社 新浦安駅前プラザIL MARE 新浦安駅前プラザ『マーレ』壁面緑化
■壁面緑化概要

緑化パネルそれぞれへ、均一な水分供給を安定的に実施するために、点滴方式の散水システムを高密度に設置し、各ユニット全て均一の水量が与えられるよう調整ができるシステムとしている。また、一度の散水時間を短くし、散水頻度を高めるよう設定できる、多プログラム設定が可能なタイマーを採用した。さらに、パネル内でより均一な横方向への水分移動を促進し、面的な給水・保水のために、緑化ブロック背面部に導水シートを配置している。


3.海浜地区での塩害に配慮した樹種選択と苗の配置

設計段階に実施した樹木医による周辺の樹木調査結果を踏まえ、樹種の選択に当たっては、耐潮性があるもの、壁面という特殊な空間でも長期間に渡って生育が可能なもの、カーテンウォールの対比として表情を演出できるもの、そして管理がしやすいものという観点から「ヘデラヘリックス」を選定している。また、①初期からの高密度な緑化面を形成しつつ②少量の苗数で効率的に緑化面を実現できるよう、竣工時の植物成長量を考慮した52苗/㎡としている。