第6回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第6回 環境大臣賞:屋上緑化大賞 (東京都西東京市)
所有・設計・管理:独立行政法人都市再生機構東日本支社
設計:株式会社 環境指標生物
設計:株式会社 和計画コンサルタント
施工:イビデングリーンテック 株式会社
グリーンプラザひばりが丘南
屋上緑化及び屋上ビオトープ
所有・設計・管理:独立行政法人都市再生機構東日本支社 設計:株式会社 環境指標生物 設計:株式会社 和計画コンサルタント 施工:イビデングリーンテック 株式会社 グリーンプラザひばりが丘南 屋上緑化及び屋上ビオトープ01

グリーンプラザひばりが丘南(敷地面積2.1ha、総戸数496戸)は、環境共生団地のモデルとして環境に配慮した屋外環境整備を行っている集合住宅であり、その一環として、住宅や屋外工作物に約1,500㎡の屋上緑化と屋上ビオトープを整備している。
団地建築物により地域の生態系ネットワークが分断されないように、西東京市の公園整備と事前調整を行い、公園に隣接する建物を低層化し、集会場の屋上にビオトープを創出しているほか、武蔵野の雑木林を代表する誘致目標種が生息できる樹種を採用するなど地域の緑と連携した整備を行っている。
屋上緑化と屋上ビオトープは、雨水の活用と自然エネルギーによる水循環システムや屋上試験研究に基づいた無潅水屋上薄層緑化などの技術的な工夫がなされている。
また、維持管理面では継続的なモニタリング調査に基づいた管理が行われており、周辺の小学校児童を中心にビオトープ計画や動植物についての学習会を実施している。
地域生態系とのネットワークに考慮したきめ細やかな計画・管理が総合的に評価され、今後の集合住宅の緑化の好事例として高く評価された。

■緑化技術の概要
グリーンプラザひばりが丘南 屋上緑化及び屋上ビオトープにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 1,500 ㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
集会所:280kg/㎡ 住宅棟:190kg/㎡
階数 3、5、13 階
土壌厚 150~300mm 土壌の種類と
名称
改良土(黒土7:パーライト3) 土壌の湿
潤時比重
1.1(湿潤時)
植栽数量 高木: 中木:16 本 低木:110 株 地被:900 ㎡
潅水方法 原則は無潅水(渇水時潅水用の水栓設置)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.雨水の活用と自然エネルギー(太陽光)による水循環システムと無潅水による屋上薄層緑化の実現

屋上ビオトープの水源には雨水を活用し、太陽光発電を利用して循環させている。また、太陽光発電による余剰電力は照明電源にも使用した上、売電、建築と屋外が一体となった雨水循環自然エネルギー活用システムを構築している。また、住宅棟の屋上は、薄層緑化(厚さ15cm)を行い、軽量化を図るために、自然土壌(黒土)7にパーライトを3の割合で混合した改良土(湿潤比重:1.1)にロール状の野芝を植栽している。高茎雑草の除去と年4回の芝刈りを行い、無潅水で永続性のある緑化を実現している。


2.モニタリングの実施と生物の生息環境に配慮した管理計画・環境学習会の開催

維持管理は、定期的なモニタリング調査に基づいて行われており、周辺の小学生児童を中心に、ビオトープ計画や動植物についての学習会を実施しており、地域住民の環境教育に活用している。


3.地域生態系とのネットワークを考慮した計画・管理
所有・設計・管理:独立行政法人都市再生機構東日本支社 設計:株式会社 環境指標生物 設計:株式会社 和計画コンサルタント 施工:イビデングリーンテック 株式会社 グリーンプラザひばりが丘南 屋上緑化及び屋上ビオトープ
■地域の緑の拠点との連携

建築物による緑の分断化に対処するため、隣地で整備計画が進められていた西東京市の公園整備と事前調整を行い、公園に隣接する建物は低層化を図り、特に集会場屋上にあるビオトープは既存樹のクヌギ、コナラ等の樹冠の高さを超えないよう2階としている。
更に、近接する屋上緑化のある住宅棟をブリッジでつなぎ、地上部でも緑が分断されないようにしている。また、屋上ビオトープ(約150㎡、水面約4㎡)には、武蔵野の雑木林を代表とする誘致目標種の鳥類や昆虫類の食草や吸蜜源となる草本や低木(39種572株)を植栽している。