第5回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール
第5回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (埼玉県鶴ケ島市) | |
設計・施工:田島緑化株式会社 資材・工法開発:田島ルーフィング株式会社 |
株式会社タジマ埼玉工場 彩の葉ファクトリーガーデン |
タジマ埼玉工場は、屋上緑化事業を手がけている企業の工場における屋上緑化事例であるが、約1,900㎡を緑化した大面積かつ意欲的な取り組みで、工場の屋上緑化の先駆的な事例となっている。工場の屋上という「荷重の制限」「対象面積の広さ」等の様々な制約条件がある中で、土壌厚100㎜の薄層緑化で多種類(104種類)の地被を使い、屋上に樹木の地上絵を描くデザインで大面積の緑化を行い、「他の建物に比べ熱がこもっていない」等のより良い労働環境を提供している。また、屋根軽量スラブ+防水から緑化までの一貫した施工により、コンクリートスラブを打設する工法と比較して、軽量・短工期な屋上緑化を実現している。 |
■緑化技術の概要
株式会社タジマ埼玉工場 彩の葉ファクトリーガーデンにおける技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 2,277㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
100kg/㎡ |
階数 | 3階(14.3m) |
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土壌厚 | 100mm | 土壌の種類と 名称 |
湿性多孔質人工軽量土壌 | 土壌の湿 潤時比重 |
0.8 |
植栽数量 | 高木:0本、中木:0本、低木:0株、地被:1924.6㎡ | ||||
潅水方法 | タイマー制御式電磁弁と点滴式ドリップホースによる自動潅水 |
1.多種多様な地被植物の導入
積載荷重100kg/㎡以下、土壌厚100mmといった条件下で生育可能な地被植物を、1年目には約70種、2年目には30種追加して約100種選定し、これらの品種をカラーリーフ、グラス、ターフ、フラワー、ハーブなどのテーマに分けて植栽することにより、それぞれのテーマ性のある葉型緑地帯を創出し、植物の多様性と地被植物による樹木の地上絵となるデザインの融合を実現している。
2.軽量・短工期の屋上緑化システム
柱の無い大規模屋内空間を必要とする工場の屋上において、十分な積載荷重をとることが不可能な条件の中で、当屋上緑化施設の整備にあたって独自の軽量緑化システムを採用している。基盤は、仕上げがフラットになる鋼製デッキの上に硬質ウレタン断熱材をを貼り、アスファルト防水を施工する。次に耐根層を全面密着するよう貼り付け、その後発泡スチロール製の保水排水パネルを設置し、人工軽量土壌及び植栽を施している。この工法により、コンクリートの打設を必要としないことにより軽量となり、また、乾燥を必要とする湿式工法がないため天候に左右されにくい工程管理が可能となった。