第5回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第5回 国土交通大臣賞:壁面・特殊緑化大賞 (東京都港区)
所有:株式会社プリンスホテル
設計:株式会社丹下都市建築設計
施工:鹿島建設株式会社
設計・施工・資材・工法開発:西武造園株式会社
東京プリンスホテル パークタワー 芝公園
所有:株式会社プリンスホテル 設計:株式会社丹下都市建築設計 施工:鹿島建設株式会社 設計・施工・資材・工法開発:西武造園株式会社 東京プリンスホテル パークタワー 芝公園01

東京プリンスホテルパークタワー芝公園は、東京都の特許事業(※)により、隣接する都立芝公園及び港区立芝公園と本計画地を一体化し、芝公園の機能性・利便性の向上に大きく寄与している。両公園や増上寺の緑、東京タワー等周辺の景観との調和を図りながら、古い歴史と新世紀の開発が融合する開かれた公園を創出する計画で進められ、ホテルの宴会場及び駐車場上部の人工地盤(17,480㎡)を完全に覆土することにより、良好な植栽基盤を確保し、永続性のある公園緑地として整備している。
緑化施設としては、隣接する丸山古墳や増上寺等の既存緑地と連続する地域の骨格となる緑を永続的に創出するため、土壌厚700㎜以上の植栽基盤を確保している。客土材は、環境への配慮とコスト縮減の観点から現場発生土を改良して使用している。芝生広場や草花ゾーンなど植栽計画に合わせた植栽基盤と灌水システムの整備を行い、灌水には井水と中水を利用し、降雨センサー付の自動灌水装置により節水に努めている。
また、防水・防根層の劣化防止のためアスファルト防水の上に防根シートを敷設しシンダーコンクリートを打設していることや目詰まりの発生しにくいリサイクル材を雨水排水に使用するなど、大規模な人工地盤の緑の量と質を永続的に維持・確保するための技術的な工夫がなされ総合的に高く評価された。


※都市計画法では、都道府県知事の許可を受けて民間事業者が都市計画施設の整備に関する事業(特許事業)を施行することができるとされている。(都市計画法第59条4項)

■緑化技術の概要
東京プリンスホテル パークタワー 芝公園における技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 17,480㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
平均1120kg/㎡
階数
土壌厚 平均430mm 土壌の種類と
名称
下層基盤:現場発生土+改良材
表層基盤:エコ黒土
土壌の湿
潤時比重
1.6
植栽数量 高木:1303本、中木:2414本、低木:15428株、地被:5639㎡
潅水方法 雨センサー付自動潅水(ドリップホース、スプリンクラー、ポップアップライザー)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.緑化施設の永続性に配慮した植栽基盤

当人工地盤緑化施設は、公園として永続性のある緑地を保持することが要求される一方、大面積の緑化に必要とされる客土について、環境に配慮した工法やコスト縮減が課題となり、現有土壌の植栽基盤としての適合性等を調査したうえで土壌改良を行い、植栽基盤として使用している。改良材には現有土壌の肥沃度改善のためのバーク堆肥、微生物活性化の改善のための下水汚泥コンポスト、排水性改善のためのリサイクル人工軽量土壌を現有土壌と混合している。土壌厚は、丸山古墳等の周辺の既存の緑と連続し骨格の緑を形成する緑地に対し700㎜以上とするなど、植栽計画に合わせて植栽基盤を整備している。


2.防水・防根層の劣化防止

人工地盤上の緑化施設としての永続性を勘案し、防水層及び防根層の劣化を防ぐための工夫を行っている。人工地盤となるスラブ上にアスファルト防水を施した後、防根シート、補強用のワイヤーメッシュを敷設し、シンダーコンクリートを打設している。また、将来の管理用車両の進入や公園の用途変化に伴う新設構造物設置が可能となるようシンダーコンクリートは厚100mmとしている。


3.排水システムに関する技術
所有:株式会社プリンスホテル 設計:株式会社丹下都市建築設計 施工:鹿島建設株式会社 設計・施工・資材・工法開発:西武造園株式会社 東京プリンスホテル パークタワー 芝公園

大規模人工地盤緑化における排水層の機能性を考慮し、雨水が停滞せずに流出する1000分の1乗以上の透水係数で目詰まりしにくい粒径組成を有するリサイクル資材を、排水材としての性能を測定・確認したうえで採用している。また、一般的な排水ドレーンの敷設以外に一部で施工性、耐久性、通水性を勘案しポリエチレン面状排水材を採用している。