第5回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第5回 国土交通大臣賞:屋上緑化大賞 (神奈川県川崎市)
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション
施工:株式会社日比谷アメニス
オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎
駐車場棟屋上緑化施設
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション 施工:株式会社日比谷アメニス オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設01 ■全景:オーチャードプラザ(手前)/オーベルグランディオ(奥) 駐車場棟
■全景:オーチャードプラザ(手前)/オーベルグランディオ(奥) 駐車場棟
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション 施工:株式会社日比谷アメニス オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設02 ■オーチャードプラザ駐車場棟屋上
■オーチャードプラザ駐車場棟屋上
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション 施工:株式会社日比谷アメニス オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設03 ■オーベルグランディオ駐車場棟屋上
■オーベルグランディオ駐車場棟屋上

隣接する2つの集合住宅オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎(全体で860戸)の高層住棟に囲まれた中庭に配置された駐車場棟は、戸当り1台分の駐車場を確保しつつ、荷重制限が厳しい鉄骨造の大規模な立体駐車場の屋上部に広場や遊び場、花壇など約3,600㎡の住民のコミュニティスペースを生み出し、安全で潤いのある住環境を創出している。所有者の異なる住宅地計画を一体で計画することにより、公開空地を共有し、統一感のある街並景観を実現する一方、パブリックな地上部とプライベートな屋上部にそれぞれの役割とコンセプトを基に個性的で多彩なコミュニティスペースを整備しており、集合住宅における鉄骨造の立体駐車場屋上緑化の好事例として高く評価された。
緑化施設の整備においては、舗装や工作物の基礎下に発泡スチロール製嵩上げ材を敷きコンクリート打設を極力少なくし、発泡成形材の土留め・縁石、パーゴラ柱の鉄骨梁との連結等細かいところにまで配慮して荷重を低減し、植栽基盤の確保に努めている。
上階からの俯瞰景を意識したデザインや、圧迫感と景観面でのインパクトを軽減するため階段状にセットバックした駐車場躯体の段差を活用し、それぞれの段での特徴ある植栽デザインや遊具等の設置により、全体として楽しめるように計画されている。
また、維持管理・運営においては、デッキの広場でのティーパーティの開催や年間の管理計画書に基づいた管理など、今後の緑とコミュニティづくりの発展が期待されている。

■緑化技術の概要
オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設における技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 1,100㎡(オーチャードプラザ)
2,480㎡(オーベルグランディオ)
設計上の荷重条件
実際の荷重
300kg/㎡
階数 4階、3階
土壌厚 600mm(max) 土壌の種類と
名称
再生セラミック人工軽量土壌 土壌の湿
潤時比重
0.8
植栽数量 オーチャードプラザ 高木:36本、中木:17本、低木:75株、地被:743.6㎡
オーベルグランディオ 高木:75本、中木:147本、低木:3532株、地被:373.9㎡
潅水方法 タイマー制御による点滴式自動潅水
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.鉄骨構造の立体駐車場屋上緑化のための荷重抑制
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション 施工:株式会社日比谷アメニス オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設
■舗装部断面図
設計・施工:株式会社長谷工コーポレーション 施工:株式会社日比谷アメニス オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟屋上緑化施設
■縁石断面図

鉄骨構造である駐車場棟の積載荷重が300kg/㎡以下といった条件の中で、荷重を抑制するため、基本的な断面構成として極力シンダーコンクリートを打たず、スラブ上に発泡成形材の排水層及び嵩上げを敷設し、ラス網を貼った上にモルタルを下塗り(ラスモル)した後、各種の舗装材を設置する構造にしている。その他、縁石や植え込みの土留め、プランターウォールに発泡成型材を使うなど細かいところまで軽量な緑化資材の有効利用を行ない積載荷重を抑制している。
また、重量のあるパーゴラを設置するにあたり、柱部と駐車場躯体の鉄骨梁をジョイントさせて一体化を行い荷重の軽減を図っている。


2.多彩なコミュニティスペースの整備

圧迫感と景観面でのインパクトを抑えるため、階段状にセットバックした駐車場躯体の段差を利用し、それぞれの段での特徴ある植栽デザインや遊具等の設置により、多彩なコミュニティスペースを提供している。


3.合理的な潅水システム

潅水用の地下貯水ピットが設けられない条件にあった中で、各階にそれぞれの緑化施設に潅水する小規模な貯水ピットを設けることにより、各設備スペースを最小限に抑え、屋上緑化施設全体の意匠的な配慮をしながら合理的な潅水システムを構築している。