第3回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第3回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (東京都中央区)
所有:株式会社 晴海コーポレーション
設計:株式会社 日建設計
施工:住友林業緑化 株式会社
 株式会社 日比谷アメニス
晴海アイランド トリトンスクエア 花のテラス・緑のテラス
所有:株式会社 晴海コーポレーション 設計:株式会社 日建設計 施工:住友林業緑化 株式会社  株式会社 日比谷アメニス 晴海アイランド トリトンスクエア 花のテラス・緑のテラス01

晴海アイランドトリトンスクエアは、晴海一丁目地区第一種市街地再開発事業(施工者:晴海一丁目地区市街地再開発組合、東京都、中央区、独立行政法人都市再生機構)として2001年に事業が完成した官・民の共同開発と土地の高度利用による魅力ある複合都市の空間形成が実現したプロジェクトであり、商業施設としてのグレードアップと集客力の向上を目的として屋上面積20,167㎡のうちの2,731㎡に緑化が行われた。完成後3年を経過したが、日常の維持管理・運営を通じた緑地の再整備が行われ、以前より緑豊かな都市景観を形成している。ここでは、緑の少ない環境の都市空間を花を中心とした新品種400 種類以上の低木・地被類を植栽し色彩豊かな緑の景観を創出し他地区との体系的な差別化を図っている。
花壇の維持管理には、設計段階にて多種類の地被類をランダムな形状で植栽することにより、複雑な花壇で必要とされる植え替え等の管理を極力無くし、管理費用の低減化を図るなどの工夫が施されている。また、緑に関するガイドツアーの実行や管理業務を日中に行い利用者とのコミュニケーションの場とすることにより、来場者に緑を身近なものとして楽しんでもらうなど、緑化の啓蒙活動の一つとしての運営が実施されている点が高く評価された。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.多種類・新品種植栽の導入

一般的に使用される低木・地被類は150種類程度であるが、ここでは、新品種を生産者へのヒアリング、圃場での確認、圃場でのモックアップによる確認を通じて400種類以上の低木・地被類の植栽を実施。これにより色彩豊かな緑の景観を実現した。


2.立体的な植栽基盤づくりと植栽計画

逆梁使用が不可能な平坦なスラブの上に、高・中木・低木と様々な形状の植栽導入が求められた中で、客土を築山状に敷設し高木の生育可能な客土厚を確保した。これにより、最高で12m の高木植栽に対する客土厚を確保するとともに、築山の高低差により地形の変化に富んだ景観づくりを実施した。
また、客土の薄い散策園路脇での緑化は、乾燥に強く日照を求める樹種を配置し、客土の厚い築山部には、乾燥に弱く日陰に耐える葉蔟の密な樹種を選定するなど、樹木の生育環境と客土厚を考慮した植栽計画を実施している。


3.緑のガイドツアー等管理運営技術

環境が厳しくややもすれば緑の少ない都市空間を、美しく変化に富んだ「花」をテーマとした緑の空間に演出することにより、来訪者が緑に触れ、楽しみ、緑の重要性を認識してもらうことを目的の一つとしている。ここでは、季節ごとの花や緑を楽しみながら散策する来訪者は絶えることがなく、来訪者の多い時間帯に植物の管理作業を実施し、植物の名前や植物管理など緑に関する質問などをつうじてのコミュニケーション喚起を実践しており、定期的に行っている「緑のガイドツアー」もオープン以来人気を博している。