第3回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第3回 環境大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都板橋区)
所有:東京二十三区清掃一部事務組合
設計・施工:株式会社 錢高組
東京二十三区清掃一部事務組合 板橋清掃工場 壁面緑化
所有:東京二十三区清掃一部事務組合 設計・施工:株式会社 錢高組 東京二十三区清掃一部事務組合 板橋清掃工場 壁面緑化01

板橋清掃工場は、老朽化した清掃工場の既存建屋を極力再利用し、プラントを全面的に更新する工事にあたって、環境との共生、資源エネルギーの循環、地域との調和の三つの理念(「グリーンリフォーム」)を柱に、積極的に環境の創造を図るために実施した、日本最大級の面積を誇る約2,000㎡の壁面緑化である。
この壁面緑化は、既存建築物に設置することから、耐震補強を行い安全性を確保するとともに、緑化システムの軽量化も工夫し、地上部から12m~28mの高さの東面、南面、西面に建物形状に合わせて約10種の植物の登はんパネルを設置し、ムベ、テイカカズラなど4種類、4,700株の植物を植栽している。このような壁面緑化技術に加えて、屋上部への緑化を行い、都心部のヒートアイランド化の抑制に寄与し、失われた野鳥・昆虫の生態系回復を図った積極的な周辺環境との共生を試みるなど、環境創出型の施設をめざしている点、及び維持管理作業の効率化、低コスト化を図るため、壁面と緑化システムの間に点検用通路を設け、管理作業の効率化を図っている点が高く評価された。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.壁面緑化用植栽基盤技術

イ. 壁面緑化基盤とパネル
壁面植栽基盤としては、金属フレーム・パネルからなる登はん補助資材にプランターに植栽したつる植物により緑化するシステムである。緑化パネルは意匠的プロポーションや植物養生、運搬、取り付けなど施工性の観点から、基本モジュール(w1,850 ㎜×h2,150 ㎜)の金属フレームで構成している。


ロ. 使用土壌
事業の特殊性から土壌の軽量化・リサイクル化の試行がポイントとなっており、各種の生育試験を実施、その結果をもとに、「廃紙再生炭」を混合したリサイクル軽量人工土壌をプランターに土壌厚240 ㎜に敷きならし、植栽基盤とした。


2.維持管理技術

・点検歩廊による管理技術
維持管理の安全性、効率化のため、壁面緑化の背面には、植栽等に関する様々な維持管理をのための点検歩廊を設けており、緑化パネルの上下部の剪定作業・病虫害の駆除(噴霧器による薬剤散布作業)・自動灌水等の点検作業が容易かつ安全に対応できる計画としている。


・灌水システム
技術灌水は、自動灌水タイマーにより年間の灌水プログラムが設定され、メンテナンスの省力化を図った。また、大規模な壁面に対して、等分布に灌水量をコントロールするため、給水管に特殊な点滴灌水パイプ(ラムホース:ラムドリッパー)を採用し、雨水センサーにより、降雨時の無駄な灌水を回避するなど給水量の軽減を図っている。