第3回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第3回 環境大臣賞:屋上緑化部門 (東京都千代田区)
所有:三井住友海上火災保険 株式会社
設計:国際航業 株式会社
 MSK ビルサービス 株式会社
 株式会社 インターリスク総研
設計・施工:鹿島建設 株式会社
 住友林業緑化 株式会社
三井住友海上駿河台ビル 屋上庭園
所有:三井住友海上火災保険 株式会社 設計:国際航業 株式会社  MSK ビルサービス 株式会社  株式会社 インターリスク総研 設計・施工:鹿島建設 株式会社  住友林業緑化 株式会社 三井住友海上駿河台ビル 屋上庭園01

三井住友海上駿河台ビルの屋上庭園は、中央大学駿河台校校舎跡地に1984 年3 月に整備された先駆的な屋上庭園であり、20 年にわたり「都市のオアシス」として地域の環境改善や景観形成に重要な役割を果たしてきた。
近年の生態系の保全や地域への開放等緑の多様な公益的機能に期待する市民からの声に応えるため、未利用空間であった会議室屋上部分に菜園を設けるなど地域の利用者が積極的に参加でき、緑と生物相豊かな地域コミュニケーションの場として活用できる新たな都会のオアシスをめざして2001 年本格的な再整備に着手した。当初は修景要素として整備された屋上緑地が、地域の新たな環境資源となり、近隣の住民、従業員のみならず飛来する野鳥や昆虫など身近な動物たちにとっても安全で快適な空間となっている点、地域開放型の屋上菜園を整備により地域活性の拠点として機能し、また、長期的な屋上緑地の保全を考慮した植栽基盤づくり、長年にわたり実施してきた植物管理技術が高く評価された。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.植栽基盤技術

ここでは、将来においても地域と調和する風格とうるおいのある「都市のオアシス」の存在を維持するための対応として高木植栽部の荷重条件を2000kg/㎡とした。土壌は、団粒構造を長期間維持し通水・通気を確保するために富士砂と黒ぼくを3:7で混合。その体積比の10%のバーク系堆肥を客土に均一に混入する等の工夫が施されている。排水については、屋上スラブ上に人工骨材で排水透水層を敷設し排水溝を埋設する他、土壌と透水層間にはグラスウールを敷きこみ侵食を防いでいる。
このような植栽基盤技術によって実施された屋上緑化は、20年にわたり地域の環境改善や景観形成にて重要な役割を果たしてきたことが熱画像によって現されている。


2.管理・運営技術

再整備を行うにあたり、屋上庭園利用の活性化を図るため、未利用空間に1区画10㎡の屋上菜園を13区画設けた。菜園は従業員や近隣の住民に開放するなど、屋上クラインガルテンとして地域のコミュニケーションの場の提供を目指した。菜園を含めた屋上庭園の管理・運営では、駿河台緑地プロジェクトチームを設置し、近隣住民の自主的な管理とあわせて、他方面の専門的なアドバイスを吸い上げながら連携して効果的な運営を実施している。


3.高・中木維持管理技術(除間伐技術)

屋上庭園は約20年を経て樹木が大きくなり、緑量が充実した反面、密度が大きくなりすぎて一部に活力度の衰退が見られるようになったが、緑地の活力度の向上と農薬使用量を減らすことを目的として大規模な除間伐を実施した。これにより、緑地に光と風が導入され活力度が増し、病害虫の軽減につながり、全社的に策定している「農薬に関する基本方針」を満たす施術の検証となった。