第2回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール

第2回 国土交通大臣賞:屋上緑化部門 (神奈川県横浜市神奈川区)
オルトヨコハマ団地管理組合
株式会社梓設計
オルトヨコハマ
オルトヨコハマ団地管理組合 株式会社梓設計 オルトヨコハマ01
オルトヨコハマ団地管理組合 株式会社梓設計 オルトヨコハマ02
オルトヨコハマ団地管理組合 株式会社梓設計 オルトヨコハマ03

オルトヨコハマは、新子安駅西地区約2.4haに広がる住宅、業務、商業の3つのゾーンを持った横浜市内における地域拠点となる住宅、業務、商業、公益施設が複合した駅前庭園都市であり、新子安駅地区第一種市街地再開発事業により整備された。
駅前の賑わいゾーンから落ち着きのある住宅ゾーンへの変化、散策路に沿って、落葉樹や花木を植栽し、子安神社の社寺林や里山の植生を屋上に再現している。
植生の再現にあたっては、屋上・人工地盤上という特異な条件を考慮し、植生基盤、風対策、維持管理面での配慮等に屋上緑化に関する新技術が導入されている。
①人工軽量土壌とEPS工法を複合した植栽基盤の軽量化技術
②降雨センサーを組み合わせた自動点滴潅水システムによる省資源省管理技術
③風荷重に対応しつつ樹木への負担を軽減する樹木支柱技術
こうした技術のもと、質・量とも豊富な樹木を全体にバランス良く配植し、デザイン性、景観性にも優れた整備が行われている。特に、「セントラルパーク」を起点とした、良好な散策空間は、都市空間の中にみどりの景観を導入することが巧みに試みられたものであり、街づくりのあり方の一つとしても高く評価された。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.植栽基盤技術

ここでは、良好な環境を市民に提供するため子安神社の社寺林や里山の植生を屋上に再現することが目標として掲げられた。このため、土壌の厚さは従来のように構造躯体による高さの調整ではなくEPS(ポリスチレンフォーム)ブロックを使用した軽量盛土技術(EPS工法)と人工軽量土壌を複合させることにより、大幅な荷重の軽減を実現している。
これにより、高木から地被類まで植物の種類に応じた多様な土層厚をもった植栽基盤を整備することが可能となり、里山の自然を屋上に再現することができた。


2.維持管理技術

オルトヨコハマでは、維持管理面での負担軽減のため、タイマー制御式の自動潅水システムを採用している。タイマー制御式は維持管理用として広く採用されているが、降雨等の影響を配慮していないという欠点があった。
ここでは、更に降雨センサーシステムを組合せた点滴自動潅水システムを用いることで、水資源の節約にも配慮しつつ、維持管理面での負担軽減を図るという維持管理の高度化を図っている。


3.支保技術

屋上緑化では、風への対策が重要となる。このことから、樹木には地下支柱が用いられることが一般的になっている。しかし、地下支柱の固定バンドが樹木の生長にともない、悪影響を及ぼすことも確認されている。こうした事態に対応するべく、オルトヨコハマでは、一定期間が経過し樹木の根が十分成長した段階で、固定バンドが生分解し、樹木への負担を軽減するしくみを取り入れた地下支柱を合わせて採用している。