助成先|令和6年度(2024年度)助成先
事業概要
緑による都市環境の改善に資する調査研究のため支援を希望する者に対し、当該調査研究活動に係る費用を助成しています。本事業は、技術開発基金の運用から生じた果実をもとに実施しています。
実施状況
平成5年度から開始された本事業は、令和5年度までに計108件の助成を行いました。
令和6年度(2024年度)助成対象者
令和6年度の調査研究活動の助成対象者は、都市緑化機構内に設置した選考審査会によって、応募された調査研究課題の都市緑化技術としての適確性、独自性、内容、方法の適切さ、成果の有効性等について評価がなされ、その結果、以下の5名の方と決定いたしました。
申請者/所属 | 研究テーマ・内容 |
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大前 亜喜 兵庫県立大学 環境人間学部4年 |
「地方自治体主導の緑化認定・表彰制度の意義と課題に関する研究 -緑化条例・評価認証制度との相補関係の分析及び制度の地域性に着目して-」 |
行政による都市緑化の普及啓発事業として、建築物への優れた緑化の取り組みを評価する緑化認定制度や表彰制度(以下、緑化認定・表彰制度)がある。本研究の目的は、都市緑化推進の取り組みにおける緑化認定・表彰制度の位置づけや意義を明らかにすること、当制度運用における課題を明らかにし、効果的な制度運用のための課題の解決策を考察することである。本研究では、おおさか優良緑化賞等の表彰制度と緑化義務を課す制度やSEGES等の民間団体が主導する都市緑地の評価・認証制度との相補関係を分析する。その際、事業立地や事業者規模等の視点から相補関係を分析する。また制度運用における課題を自治体職員へのヒアリングにより把握する。 | |
佐藤 亮太 京都大学大学院 修士課程2年 |
「京都市における都市緑地のCO2吸収効果に関する研究-渦相関法によるCO2フラックスの分析-」 |
一国や一都市のCO2排出量は、間接的に算出されたインベントリによる推計が一般的であり、都市におけるCO2放出・吸収量(フラックス)の直接観測例は少なく、国内においては数件しかない。本研究は京都市市街地内の緑地を有する地域を対象として、渦相関法により30分毎のCO2フラックスを通年観測し、市街地 |
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祖父江 侑紀 東京大学大学院 特任研究員 |
「白黒航空写真を利用した都市域における緑地の定量的把握手法の開発」 |
日本の市町村では緑の基本計画を基にした緑地調査が行われている。なかでも緑被率の算定は指標となるが、各市町村によって緑地と判断する基準、使用データが衛星画像もしくは航空写真が異なる統一的に緑被率を評価できない。そこで本研究では、申請者の既存の調査を拡張して全国的な市の現状を把握し、①過去のモノトーンで撮影された航空写真を機械学習によってカラー化し、②都市における緑地を算出し、③最終的には衛星画像との比較を行う。結果、衛星画像からの推定緑地面積との比較を行いつつ、定量的な経年変化を正確に推定することを目的とする。 |
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中原 康成 香川大学大学院 修士課程2年 |
「香川県下に設置された雨庭における雨水の浸透・貯留の実測評価」 |
近年、降雨の極端化が報告される中で、都市型水害の減災に寄与するグリーンインフラ「雨庭」が注目されている。グリーンインフラとしての導入にあたり雨水浸透機能の定量的評価が必要であるが、2024年現在、実際の降雨イベントにおける実測データを用いた評価事例は極めて少なくさらなる知見の獲得が不可欠である。本研究では、香川県高松市内に造成した雨庭において、降水量、雨水の流入出量、庭内の窪地の表面水位の測定により、雨水の浸透・貯留モニタリングを実施し、本雨庭の有する雨水処理機能を実測検証することを目的とする。 |
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東 叶達 長崎大学大学院 博士前期課程1年 |
「室内緑化が図書館内の利用者の心理反応に及ぼす影響に関する実証研究」 |
建築分野において、自然要素を取り入れたバイオフィリックデザインが注目されている。また、従業員の健康に投資する健康経営の広まりによって、今後、執務空間をはじめとする多様な室内空間において、植物の導入がますます普及することが予想される。室内緑化には、温熱環境調節、空気浄化、快適性向上、視覚疲労緩和・回復、知的生産性の向上等の効果があるとされている。本研究では、室内緑化が在室者の印象評価等の心理反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、緑化が導入された図書館空間を対象とした実証実験を実施する。冬季実験は昨年、実施済のため、本研究では夏季実験を実施し、暑熱条件下における緑化の効果を実証する。 |
(順不同)