第31回 緑の都市賞

第31回 奨励賞:緑の地域づくり部門 (東京都港区)
森ビル株式会社 愛宕グリーンヒルズ
森ビル株式会社 愛宕グリーンヒルズ01
愛宕山の 伝統と緑を 後世に伝える

愛宕グリーンヒルズが隣接する愛宕山は、江戸を一望できる見晴らしの名所として知られ、浮世絵にもしばしば描かれてきた。愛宕山は都市計画上の風致地区に指定され、周辺には古い歴史を持つ寺社が数多く立地している。再開発で2001年に生まれた愛宕グリーンヒルズ内にも青松寺・清岸院・傳叟院の3寺院が含まれている。愛宕グリーンヒルズでは、このような周辺地域の特性を引き立てるよう、植物の選定・配置なども日本の伝統を強く意識したものとなっている。愛宕山に続く斜面緑地は、既存の植物を保護すると共に、スダジイ・タブノキなど古くからこの地に在来する植物の実生苗を採取し、圃場で苗木に育成して敷地内に戻す試みなどが行われている。

愛宕山グリーンヒルズの開発上の有効空地率は50%であり、空地の大部分は緑化され、協定公園や緑道などの形で一般に公開されている。協定公園には茶室を備えた集会所が設けられており、様々な催し物に活用され地域に親しまれている。これらの公開された空地や緑地は、近隣居住者の散策ルートであるだけでなく、オフィースワーカーの憩いの場として活用されている。一方で、緑地内への無尽蔵な侵入を抑制するようデザインが工夫され、動植物への影響を最小限に抑えるよう配慮されている。再開発時に都道の歩道に植えた街路樹は、10年を経過した今、大きく葉を茂らせ、夏季には歩道に木陰をつくるまでに成長した。

東京都の「環境軸推進計画書」のなかで『みどりの軸となる道路周辺の地域』に、愛宕グリーンヒルズは含まれており、今後も継続的に、質の高い緑地の維持が求められている。