第20回 屋上・壁面緑化技術コンクール
第20回 国土交通大臣賞:屋上緑化部門 (熊本県熊本市) | |
九州産交ランドマーク株式会社 株式会社日建設計 大成・吉永・岩永・三津野・新規建設工事共同企業体 西武造園株式会社 株式会社 景匠館 株式会社 皆楽園 |
SAKURA MACHI Kumamoto |
本作品は、熊本城の南に位置し、かつては細川家ゆかりの「陽春庭」があった花畑公園・花畑広場に隣接したランドマークの緑化である。折り重なるように積み上がったひな壇状の低層部は、公共空間と一体で豊かなパブリックスペースを創出していおり、地上30mに配置された屋上庭園は「現代の陽春庭」と位置付けられている。「熊本城と庭つづき」という失われていた熊本城との関係を再構築した。 |
■緑化技術の概要
SAKURA MACHI Kumamotoにおける技術的な諸元は以下のとおりである。作品面積 | 10,765.34㎡ | 設計上の荷重条件 実際の荷重 |
2,000㎏/㎡(成長分見込み) 1,200㎏/㎡ |
階数 | 2,3,4,5,6階屋上、熊本城ホール屋上、駐車場棟屋上 |
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土壌厚 | 200~1,400㎜ | 土壌の種類と 名称 |
人工軽量土壌 | 土壌の湿 潤時比重 |
1.0 |
植栽数量 | 高木:460本 中木:410本 低木:2,251本 地被:リュウノヒゲマット約750㎡、芝生約1,835㎡ |
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潅水方法 | 年間タイマー付き 点滴式自動潅水 |
1.失われた風景を蘇らせる屋上‐環境緑化からの脱却‐
城とのつながりをよみがえらせるため、屋上庭園を城と同じ高さまで持ち上げ、途切れてしまっていた城との関係を視覚的に蘇らせた。庭を30m上空に持ち上げる事で視線を阻害していた建物を覆い隠し、施設の上に新たに設けた屋上庭園を「現代の陽春庭」と位置付けて、かつて見えていた陽春庭越しに城を望めた関係を取り戻した。
2.くまモン盛土‐人工地盤を感じさせないディテール‐
高木植栽による立ち上がりを最小限にして、屋上感をなくすこと、コストと大幅な工期の縮小を目的に、人工地盤を感じさせない新しいディテールをつくりだした。円筒形状のテストピースで縁取りした基準地盤面に高木の土厚を確保するため、周囲を麻土嚢を積み上げトリカルネットで覆い、リュウノヒゲマットを麻土嚢にペグで固定した。
見た目に可愛らしく、商業施設によく似合う、ご当地キャラをイメージした「くまモン盛土」と命名した。
3.街の視点と屋上の視点からつくる植栽デザイン
2Fから6Fまで、ひな壇状にセットバックする屋上庭園は街の視点と屋上の視点の2つからデザインした。街からはサクラや紅葉の鮮やかな景色が上階へと連続する様に樹種を配置し、屋上からは、地上部の広場が見えやすい位置に手摺迄近づける場をデザインとした。樹木に覆われた緑の天蓋をつくり落ち着いた景色とし、ハイカウンター&チェアに枝が覆いかぶさるように1本づつ上階の枝ぶりを意識し丁寧に現場で植え付けた。