第18回 屋上・壁面緑化技術コンクール

第18回 日本経済新聞社賞:屋上緑化部門 (東京都三鷹市)
三鷹市
独立行政法人都市再生機構
株式会社日本設計
三鷹中央防災公園・元気創造プラザ
三鷹市 独立行政法人都市再生機構 株式会社日本設計 三鷹中央防災公園・元気創造プラザ01 全景
全景
三鷹市 独立行政法人都市再生機構 株式会社日本設計 三鷹中央防災公園・元気創造プラザ02 中央広場(下)
中央広場(下)
三鷹市 独立行政法人都市再生機構 株式会社日本設計 三鷹中央防災公園・元気創造プラザ03 平面図・断面図(破線は屋上部分)
平面図・断面図(破線は屋上部分)

 本作品は、公園敷地内の人工地盤緑化である。公園敷地及び隣接する庁舎敷地(計約2ha)内に一体建設された地上5階・地下2階の公共施設「三鷹中央防災公園・元気創造プラザ」は、公園敷地内建物の地下2階から地上1階の運動施設(アリーナ、武道場、屋内プール等)と、庁舎敷地建物の1~5階の行政施設(総合保健、福祉、総合防災等の各センター)から構成されている。運動施設屋上の都市公園の中央広場(5,490㎡)は、災害時の一時避難場所の役割を有しており、①市内の老朽化した公共施設の移転集約、②従前の青果市場跡地の一時避難場所機能の恒久化と広域防災拠点の構築、③緑のネットワーク拠点の創出を同時に実現した。
 日常時は市民の憩いの場、災害時は周辺住民の避難場所となる一方、鳥類や昆虫類等の生息地となるように配慮して植栽を行うなど、多面的な緑地の創出手法が高く評価された。

■緑化技術の概要
三鷹中央防災公園・元気創造プラザにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 6,315㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
公園:1,000~2,000kg/㎡
庁舎:1,300~1,600kg/㎡
階数 公園:2階
庁舎:2~5階屋上
土壌厚 公園:500~1,300
(平均920)㎜
庁舎:220~300、350、550㎜
土壌の種類と
名称
公園:改良土プレミックスソイル等
庁舎:リサイクル人工軽量土ボストンファームⅡ
土壌の湿
潤時比重
公園1.28
庁舎0.74
植栽数量 公園/高木: 67本 中木: 59本 低木: 1,129株 地被: 2,806株 張芝: 3,740㎡
庁舎/高木: 17本 中木: 17本 低木: 2,038株 地被: 3,361株 張芝: 1,218㎡
潅水方法 公園: 無灌水(手撒き用散水栓) 庁舎: 点滴パイプ式自動灌水
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.地盤面から連続した、避難場所となる大空間の屋上緑化
三鷹市 独立行政法人都市再生機構 株式会社日本設計 三鷹中央防災公園・元気創造プラザ
各種構造を組み合わせた建物躯体

 防災公園として成立させるため、運動施設の屋上(約6,300㎡)を一時避難場所となる中央広場(5,490㎡)や、避難者の救急車通路に活用することが必要であった。そのため、建物自体のアーチやトラス、プレストレストコンクリート梁等の各種構造を組み合わせ、植栽基盤・車輛交通の荷重を支持しながら、地上部から屋上まで通行できる傾斜路・広場を実現した。


2.公園の活動と永続性に配慮した植栽基盤

 運動施設屋上の植栽基盤は、建物躯体の保護コンクリート上部に黒曜石パーライトの排水層(厚さ100~150㎜)を設け、その上部に現場発生土または黒土の改良土(下水汚泥コンポスト・砂・黒曜石パーライトを混合、厚さ200㎜)と、改良土プレミックスソイル(赤土をベースに真珠岩パーライト・炭・黒土・剪定枝堆肥・肥料成分をブレンド、平均厚さ約570㎜)を盛土した。使用した混合土材料は、入手が比較的容易なものとし、都市公園としての永続的なメンテナンスに配慮した。


3.地上と屋上を繋ぐメッシュカゴの「段状緑化」

 公園内の建築物を目立たせないため、公園東西の盛土面と運動施設の建物が接する部分は、建物を隠しつつ、公園内の緑との連続性を生み出す「段状緑化(パーライト・改良土を詰めたメッシュかごを階段状に積み、低木と地被類を配植)」を設置した。かご底部には、ゴムシートを立ち上げた保水層をつくり、無灌水を可能としつつ、一部では運動施設のルーフドレインからの雨水排水管をメッシュかご中段部に分岐接続し、かご底面から順次、下のかごへと雨水が伝わる、雨水利用の灌水を実現した。