第16回 屋上・壁面緑化技術コンクール

第16回 環境大臣賞:壁面・特殊緑化部門 (東京都港区)
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー
株式会社愛植物設計事務所
株式会社竹中工務店
トヨタルーフガーデン株式会社
日本地工株式会社
TRI-SEVEN ROPPONGI
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI01 全景
全景
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI02
 

 本作品は、オフィス建替工事と江戸期から続く神社の建替えを共同で行った開発事業において、敷地裏側のビルの谷間に創出された壁面緑化である。
 計画地は、大規模な商業施設やオフィスの開発が進む高台の「先進的エリア」と、小規模で高密な市街地化が進んだ低地の「昔ながらの六本木」の境目に位置している。ランドスケープ計画では、そのような計画地の立地特性を踏まえ、それぞれの街の様相に見合った外部空間と緑によって、多面的な街をつなぐことをテーマとした。
 そこで、①建築外壁と一体となった巨大な壁面緑化、生垣、並木などで、ビルの谷間に立体的で緑量のある空間を創出する、②日々眺める緑として季節感のある多彩な植物で構成し、周到な準備を行う、③下部の歩道状空地の通行を妨げない管理方法、④経年で更なる充実をしていくための植栽管理の仕組み、など4つを基本方針とした整備を行った。
 竣工直後から、事業者・植栽設計者・管理者による協働巡回を実施し、「植物の状態に合わせた順応的な管理」を行うために取り組んでいることが高く評価された。

■緑化技術の概要
TRI-SEVEN ROPPONGIにおける技術的な諸元は以下のとおりである。
作品面積 242.97㎡ 設計上の荷重条件
実際の荷重
100㎏/㎡
70㎏/㎡
階数 -
土壌厚 80㎜ 土壌の種類と
名称
植栽基盤ケース
「スマートグリーンウォール」
土壌の湿
潤時比重
0.73
植栽数量 高木: --本 中木: --本 低木: --本 地被: 242.97㎡(10,638株)
潅水方法 自動潅水システム(点滴式、シーズンプログラム制御)
ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の点があげられる。
1.現地モックアップのモニタリングと植物事前養生へのリンク
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI
冬期を含み約6ヵ月間設置したモックアップ

「単にみどりで覆うのではなく、多彩な植物が組み合わさった自然な緑にしたい」との事業者の強い要望を踏まえ、導入種の検討からスタートした。壁面緑化に導入実績のある数十種から、地盤面の導入種とも関連する植物を中心に10種を選定した。ただし、ビルの谷間の日照や風など、現地の環境条件で選定した10種が健全に生育できるかは未知数だったため、整備の約1年半前から『モックアップ』を計画地に設置し、生育状況をモニタリング、その結果、生育の思わしくなった種を外し、7種に厳選した。


2.「ゴンドラ」活用による最適な施工及び維持管理
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI
ゴンドラによる目視点検管理

緑化面の下部が歩道状空地であり、その通行を妨げない維持管理方法が必須であった。そこで、外壁清掃用の「ゴンドラ」を設置活用した。大部分が北面環境下となるため、植生に若干の懸念もうかがわれ、植生管理の至近目視点検を実施するのに最適である。また、施工においては狭小空間のうえ、高所への緑化ユニット(カセット基盤)取付工法には、このゴンドラの使用が施工性においても最適かつ安全であった。


3.迅速な植物維持対応のための維持管理体制の整備
ペンブローク・リアルエステート・ジャパン・エルエルシー 株式会社愛植物設計事務所 株式会社竹中工務店 トヨタルーフガーデン株式会社 日本地工株式会社 TRI-SEVEN ROPPONGI
3者による協働巡回

本作品では、竣工直後から事業者・植栽設計者・管理者の3者による協働巡回を実施し、目標の共有・状態に応じた管理内容の調整・管理記録の蓄積など、「植物の状態に合わせた順応的な管理」を行うための取組を継続している。また、具体の管理手法として、ゴンドラによる至近での目視確認や迅速な対応を可能としており、実際に、今春、順調な生育をしていた緑化ユニットの一部が急速に衰退したが、即時、原因究明と代替種の検討を行うなど、きめ細やかな管理を実践している。