本作品は、競技場のスタンドを地面との一体化をめざしつつ14,610㎡の壁面緑化等を用いて緑化したものである。特徴的な緑化技術として①建築の地形化、②緑に囲まれた競技場、③在来種を多種採用したサスティナブルな緑化計画をあげている。
本作品では、武蔵野をコンセプトとして、武蔵野の森にふさわしい在来種を50 種以上植栽することで、それらに囲まれた、美しい緑のスポーツ施設の創造を目指している。使用する材料は「自然な」ものの有り様を、また、建築において「地形化」をめざしている。そのため、スタンド棟の高さを極力低くし、半地下とした空間に諸室を収めている。加えて、スタンド上には垣根と高木を植栽し、足元周りには壁面緑化と蛇籠による緑の確保を行っている。更に、敷地内に点在していた20ｍ級の既存高木を敷地内適所に移植して、竣工直後から緑豊かな環境を実現した。これらを競技場全周に渡り展開することで、緑に囲まれた競技場を実現している。
大規模な壁面緑化を活用しつつ、建築の「地形化」する技術は、環境の時代における建築の一つの方向性を示しているものとして、また、芝スタンドや既存木の移植、在来種など「自然な」モノを追及し、全体的に落着いた空間づくりに成功していることなどが優れた作品として高く評価された。