築40年のテナントビルである豊島屋ビルの約115㎡の屋上庭園は、耐震補強工事に合わせ、テナント会社社員の憩いの場として整備されたものである。
50種類以上の植物による植栽と小川が整備された庭園は、月に1回の管理と季節ごとの植え替えにより維持されており、テナント会社社員の休憩や商談に活用されているほか、休日は地元の地域団体にも解放されている。
60kg/㎡の厳しい荷重条件の中、軽量なかさ上げ材を用いて小川を流すための高低差をつくり、軽量ブロックに遮水シートと小石を圧着させたシートを巻きつけるという独自の工法で土台づくりを行っている。また、斜めにとった動線と緩やかな小川の曲線で小面積の屋上空間に広がりを演出し、テーブルを配したデッキ周りに竹を配植することで遮蔽された半個室的空間を創出する等のデザイン的工夫を行なっている。
小規模ながら厳しい荷重条件の中でデザイン性の高い庭園を実現しており、耐震性補強工事にあわせた屋上緑化の実施により不動産価値の向上に成功している点が評価された。