都市における自然環境の悪化は、「ヒートアイランド現象」や「都市の砂漠化」などの深刻な問題をもたらし、都市で生活する人々の“精神や身体”に大きな影響を与えています。
また、一方では、これらの問題を解決する有力な手段である“都市緑化”と、それを確保する“空間”が過度の都市化により急激に減少しています。
そのため、これまでは、都市において緑のためのスペースとして認識されず、視野にも入らなかった空間を、新しく、緑化のための空間として見いだし、創出することが必要になってきました。その空間を、都市の緑の量と質をより豊かにする「特殊緑化空間」として位置づけ、その緑化技法を確立することが必要です。
このマニュアルは、都市の緑化に携わる専門技術者および関係者が、「特殊緑化空間」の考え方を知り、緑化の契機とし、またその緑化技法の解説や事例によって、アウトラインを把握し、今後の緑化に関する業務の“ヒントや方法”を得ることを目的として編集されました。
「特殊緑化空間」の緑化はまだ新しい分野です。もちろん、その技術のすべてが解決されている訳ではありません。事例紹介の章において“不十分なケース”として紹介したものもありますが、今後、「特殊緑化空間」の緑化技法がますます高度になり、都市の緑化空間が広がるための参考事例として掲載しました。このマニュアルが、都市の緑の回復に少しでも役立ち、「特殊緑化空間」の緑化技法の新しい展開に寄与できることを願っております。
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