研究年報|研究年報2014
あいさつ
公益財団法人 都市緑化機構
理事長 輿水 肇
近年、身近な生き物の保全や都市のヒートアイランド現象の緩和、市街地における防災力の向上など、みどりを活用した持続的な発展が可能な都市づくりとゆとりと潤いのある生活環境の実現が求められています。
都市のみどりの保全・再生・創出を進めるためには、行政による都市公園の整備や緑化事業のみならず、市民による緑化活動や企業によるみどりの保全・創出に係わる取組みなどが求められるところですが、それには、それらを支えるみどりに関する技術開発、調査、研究等が不可欠であるとの認識の下、当機構においては自然共生社会、循環型社会、低炭素社会、持続可能な社会を目指し、ハード面・ソフト面にわたって都市緑化技術に係る調査研究・技術開発、情報発信、普及啓発などの事業を行ってきました。
この『研究年報2014』(公益財団法人都市緑化機構)は、当機構が平成26年度に実施した都市緑化技術に関連する調査・研究等を取りまとめたものです。
『研究年報2014』が都市の“みどり”の発展に寄与できますことを祈念するとともに、今後とも当機構へのご指導、ご鞭撻をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
研究年報2014
1.調査研究・技術開発
-1.自主調査研究
①先進緑化技術開発
国土交通省都市局の「先導型都市環境形成促進事業[先進緑化技術開発推進事業]」の採択を受け、以下の4つの緑化技術開発を実施しました。
- 1)屋上緑化資材の昇降技術の開発
- 2)歩行者と自転車を区画し都市環境向上に資する緑化技術の開発
- 3)屋上緑化用植物の耐乾性究明の技術開発
- 4)樹木の温熱環境改善ポテンシャルの把握による屋外温熱環境設計手法の技術開発
②科学技術研究
文部科学省の科学研究費補助金の交付を受け、以下の研究課題を実施しました。
1)ライシメーター法による実大樹木の蒸散量計測によるヒートアイランド対策への展開
-2.共同研究
民間企業や関係団体等と共同して、以下の都市緑化の推進等に関する各種課題についての調査研究を実施しました。
①特殊緑化に関する調査研究
②公園緑地における防災技術に関する調査研究
③ユニバーサルデザインに関する調査研究
④グランドカバー・ガーデニングに関する調査研究
⑤都市の緑環境に関する調査研究
⑥都市環境の保全、育成、創造に関する調査研究
-3.受託調査研究
国及び地方公共団体等からの委託を受け、都市緑化の推進等に関する以下の調査研究等を実施しました。
①都市緑化による環境の創造、改善に関する調査研究
1)都市緑化等による温室効果ガス吸収源対策等の推進等に関する調査
2)H26年国営ひたち海浜公園利用者満足度調査外業務
3)H26年昭和・武蔵・有明公園施設改修検討他業務
4)防災公園計画設計ガイドライン検討調査
5)災害時における公園緑地の活用事例等に関する資料収集・整理業務
②都市における新たな緑化空間の創出に関する調査研究
1)屋上緑化・壁面緑化の施工実績及び海外発信に関する検討業務
2)屋上緑化及び壁面緑化に関する調査研究委託
3)和泉多摩川緑地都立公園化整備推進構想(案)策定業務委託
③都市における緑化を推進するための植栽植物の育成、管理に関する調査
1)東京都公立小中学校、幼稚園・認可保育所の芝生化に対する技術支援
④国・地方公共団体による都市緑化、企業による緑地創出、市民・企業参加の花と緑のまちづくり等の推進に関する調査研究
1)都市緑化に関する普及啓発事業の展開に関する検討業務
2)山口県緑化普及推進施策に関する計画策定業務
3)UR賃貸住宅等における園芸活動の展開等に関する検討業務
4)東京都心部における生態系ネットワークに資する緑地の保全方策検討調査
5)福岡市における魅力ある都市空間形成を目指した緑化効果の実証検証調査
2.技術評価
都市緑化技術に関する各種評価を実施し、優良な都市緑化技術等についての普及を図りました。
3.人材育成・情報発信・国際協力等
都市緑化に関する人材育成、情報提供、国際協力の推進を図るため、以下の事業を実施しました。
-1.人材育成
①調査研究活動への支援
②都市緑化技術研修会
③都市緑化フォーラム
④スカイフロントフォーラム
⑤造園CPDプログラムへの登録