研究年報|研究年報2013
研究年報2013
1.調査研究・技術開発
(1)自主調査研究
①先進緑化技術開発
国土交通省都市局の「先導型都市環境形成促進事業[先進緑化技術開発推進事業]」の採択を受け、以下の4つの緑化技術開発を実施しました。
- 1)屋上緑化の昇降技術の開発
- 2)歩行者と自転車を区画し都市環境向上に資する緑化技術の開発
- 3)屋上緑化用植物の耐乾性究明の技術開発/li>
- 4)樹木の温熱環境改善ポテンシャルの把握による屋外温熱環境設計手法の技術開発
②科学技術研究
文部科学省の科学研究費補助金の交付を受け、以下の研究課題を実施しました。
1)ライシメーター法による実大樹木の蒸散量計測によるヒートアイランド対策への展開
(2)共同研究
民間企業や関係団体等と共同して、以下の都市緑化の推進等に関する各種課題についての調査研究を実施しました。
①特殊緑化に関する調査研究
関係学会における特殊緑化技術に関する研究活動と、本研究参加者の研究活動への理解を深めるため、「平成25年度 特殊緑化に関する若手研究者・企業関係者の合同発表会」を実施しました。
また、防災緑化型駐車場の普及啓発活動に向けた検討を一般社団法人プレハブ駐車場工業会のメンバーと共同で行いました。
そのほか、南京世界屋上緑化大会への参加、Dr.Puay Yok Tan(シンガポール大学)との交流会を開催し、情報収集を図りました。
②公園緑地における防災技術に関する調査研究
東日本大震災の被災地の岩手県陸前高田市における被災後の状況について、市及び住民、NPO団体等から聞き取り調査を行い、被災地調査を踏まえた公園緑地の充実、活用に関する研究調査を検討しました。
また、防災公園事例集及び防災公園技術ハンドブック施設資料集の改訂に向けた編集作業を行いました。
③ユニバーサルデザインに関する調査研究
これまでのユニバーサルデザインに関する調査研究成果を踏まえつつ、従来からの研究テーマである「都市公園におけるバリアフリーチェックシート」の改良と情報蓄積を行うとともに、これまでの研究成果をまとめた書籍の発行に向けての検討を行いました。
④グランドカバー・ガーデニングに関する調査研究
東京都が推進する校庭芝生化事業を支援するとともに、地域性系統緑化の生産や利用の実態を把握するための準備を進めました。また、ガーデニングの普及啓発を目的とした「花の開花日調査」の実施に向けて検討を行いました。
⑤都市の緑環境に関する調査研究
「造園家が考える緑の墓園」のケーススタディを昨年に引き続き実施し、報告書を作成しました。
また、マンション等の集合住宅のみどりを対象とした緑の改善に関する総合的な取り組みを推進するため、マンションのみどり改善ガイドの作成を進めました。
このほか、植物性発生材の土壌への炭素固定効果について調査研究を取りまとめました。
⑥都市環境の保全、育成、創造に関する調査研究
単に緑の空間の創造にとどまらず、その利用方法や維持管理手法の提案の検討を行いました。雨水貯留浸透槽用充填材及び埋戻し材の植栽基盤としての利用可能性を調べるための樹木植栽実験等を行いました。
(3)受託調査研究
国及び地方公共団体等からの委託を受け、都市緑化の推進等に関する以下の調査研究等を実施しました。
①都市緑化による環境の創造、改善に関する調査研究
1)都市緑化等による温室効果ガス吸収源対策等の次期枠組への対応方針等検討調査
2)平成25年度 深大寺・佐須地域環境資源保全活用検討業務委託
3)平成25年度 沖縄における生物を活用した循環・共生型の都市緑化等推進検討業務
4)H25国営武蔵丘陵森林公園運営維持管理に関するモニタリング調査業務
5)H25国営東京臨海広域防災公園運営維持管理に関する調査検討業務
6)H25国営昭和記念公園こどもの森他再整備計画策定業務
7)園芸植栽を活用したUR 賃貸住宅のストック改善方策検討業務
8)賃貸住宅における造園設計及びコスト検討業務
②都市における新たな緑化空間の創出に関する調査研究
1)屋上緑化・壁面緑化の施工実績及び維持管理・更新検討業務
③都市における緑化を推進するための植栽植物の育成、管理に関する調査
1)東京都公立小中学校、幼稚園・認可保育所の芝生化に対する技術支援
2))東京都学校施設等の校庭芝生化に関する検討調査
④国・地方公共団体による都市緑化、企業による緑地創出、市民・企業参加の花と緑のまちづくり等の推進に関する調査研究
1)社会経済情勢の変化に対応したみどりのあり方に関する検討調査
2)全国都市緑化フェアの開催効果と今後の展開に関する検討業務
3)山口県緑化普及推進施策に関する検討業務委託
4)全国都市緑化フェア事業 横浜市開催検討業務
2.技術評価
都市緑化技術に関する各種評価を実施し、優良な都市緑化技術等についての普及を図りました。
(1)都市緑化技術審査証明事業
都市緑化技術の審査証明は、民間企業等において開発された新技術の有効性を審査、証明し、国や地方公共団体に情報提供することにより、新技術の活用を促進し、都市の緑化に係わる公共工事の質の向上や効率的な運用等に寄与することを目的としており、その周知広報に努めました。
(2)SEGES
社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)」とは、緑をまもり育てる活動を通じて社会や環境に貢献している企業の緑地を対象に、特に優れた取組みを評価・認定する制度であり、平成25年度においては、以下のとおり認定・審査を行いました。
① 既存緑地版:新規認定1件、更新審査11件、維持審査7件
② 都市開発版:新規認定2件
③ 都市のオアシス:新規認定15件
(3)屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール
都市のヒートアイランド現象の緩和、省資源・省エネルギーの推進、生物多様性の確保等都市環境の改善に資するため、過密化する都市に残る貴重な未利用空間である建築物等の屋上や壁面、人工地盤や駐車場などの特殊空間における緑化に関する優れた技術、作品を顕彰しました。
平成25年度においては、屋上緑化部門:6点、壁面・特殊緑化部門:6点、計12点について、国土交通大臣賞及び環境大臣賞等の表彰を行いました。
3.人材育成・情報発信
都市緑化に関する人材育成、情報提供、国際協力の推進を図るため、以下の事業を実施しました。
(1)人材育成
① 調査研究活動への支援
大学院生等の若手研究者による都市緑化に関する調査、研究及び技術開発を奨励するため、優れた研究テーマに対し、技術開発基金による助成を行うことにより、次世代を担う若手研究者の育成を図っており、平成25年度は、5件の調査研究活動に対して、総額50万円の支援を行いました。
② 都市緑化技術研修会
都市のみどりに関わる実務者や技術者の能力向上、都市緑化技術に関する情報の提供及び技術の普及等を目的として、下記のとおり都市緑化技術研修会を開催しました。
会 場: 国立オリンピック記念青少年総合センター
開催日: 平成26年1月16日(木)~17日(金)
参加者: 57人
テーマ: 多様な主体による魅力あるみどりのまちづくり
~保全・創出から行政のサポートまで~
③ スカイフロントフォーラム
屋上や壁面などの特殊空間の緑化を推進し、みどり豊かなうるおい
のある生活環境の実現を図ることを目的として、特定非営利活動法人
屋上開発研究会との共催により、次のとおり第18回「スカイフロン
トフォーラム」を開催しました。
会 場: 日比谷図書文化館ホール(日比谷公園内)
開催日: 平成25年4月19日(金)
参加者: 86人
テーマ: 女性力が拓くこれからの都市緑化
④ 造園 CPD プログラムへの登録
都市のみどりに関わる技術者の緑化技術の向上等を目的として、造
園CPD協議会に参加し、主催する2件の事業について造園CPDプ
ログラムへの登録を行いました。
(2)情報発信
① 機関誌の発行
優れた緑化の取り組み事例や都市緑化技術等に関する最新情報の発信及び調査・研究成果の発表等を内容とする機関紙「都市緑化技術」を発行しており、平成25年度は、「都市緑化技術の最新動向」、「医療・福祉とみどり」、「公共団体における緑のとりくみ」をテーマに3号を発行しました。また、民間事業者の緑化先進事例紹介を中心とした「都市の魅力と価値を高める“緑”」とする増刊号を発行しました。
② 冊子の発行
市民の都市緑化意識の高揚を図るため、公益財団法人国際花と緑の博覧会記念協会の協力を受け、冊子「生き物共生まちづくりのてびき」を作成、配布しました。