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平成30年度の調査研究活動の助成対象者が決定いたしました

公益財団法人 都市緑化機構では、緑による都市環境の改善に資する調査研究のため支援を希望する者に対し、当該調査研究活動に係る費用を助成しています。

本助成は、当機構の会員のみならず都市緑化の研究に携わっている学生、研究者に対して、研究の機会を広げるとともに、研究の内容を高めるべくその調査研究活動等に必要な費用の一部を助成するものです。

平成30年度(2018年度)助成対象者

平成30年度の調査研究活動の助成対象者は、都市緑化機構内に設置した選考委員会によって、応募された調査研究課題の都市緑化技術としての適確性、独自性、内容、方法の適切さ、成果の有効性等について評価がなされ、その結果、以下の5名の方と決定いたしました。

 

申請者/所属 研究テーマ・内容
板倉 健太
東京大学大学院
修士課程2年
「車載カメラより取得された画像からの木の自動認識及び構造情報の推定」
都市植生は景観の向上のみならず、大気汚染やヒートアイランド現象の緩和、二酸化炭素の固定など多面的な役割を果たす。都市植生の機能把握のために現地調査や衛星画像の解析が行われてきたが、多大な労力を要することや、得られる情報に限りがあるという問題がある。地上からの画像を利用すれば、簡便に広範囲な調査が行える可能性がある。
複数の画像から対象の3次元画像を得る手法があり、さらに深層学習を用いた樹木の検出や樹種判定を組み合わせれば、植生の詳細な情報を得ることができる。そこで深層学習により様々な種類の物体が混じりあるなか、樹木の自動認識を行い、さらに得られた3次元画像から幹直径や、樹木の位置の推定を行う。

松岡 達也
東京大学大学院

博士課程3年

「バイオ炭とCAM植物を利用した低コスト型屋上緑化技術の開発」
粗放型屋上緑化に蜜源植物を導入するためには、植物体の生育状態が良好に保たれる土壌水分環境を策定する必要がある。セダムなどのCAM植物の混植により蜜源植物の生育状態が改善されることが分かっているが、その効果の高さと土壌水分環境の関係性については詳細に解明されていない。よって本研究では、バイオ炭の混合により保水量を調整し、異なる土壌水分環境のもとでセダムと蜜源植物の混植実験を行うことにより、CAM植物とバイオ炭を利用した低コスト型屋上緑化技術の開発に向けた基礎的知見の確立を目指す。

梶間 周一郎
東北大学大学院

修士課程1年

「都市のグリーンインフラ政策採用の阻害要因と波及に向けた都市間ネットワークに関する研究:都市林を対象として」

本研究ではまず、①都市林を含む都市のグリーンインフラ(GI)に関する政策採用の阻害要因を特定する。その後、②GI政策の波及に向けた都市間のネットワークを可視化する。具体的に①では既存研究から得られた要因(国の製作・自治体の製作・組織構造・財政状況。GIへの認知など)から阻害要因を明らかにする。②では、GI政策に関する都市間のネットワーク(都市の規模・地域・災害経験・都市間の歴史的背景など)の有無、形を明らかにする。①の類型化と②の可視化の結果、どのような条件とネットワーク下であれば、GIを促す政策が採択されるのか、傾向を特定し、都市の類型別の提言を研究目標とする。

中村 優里
首都大学東京

博士課程1年

「全国都市緑化フェアによる効果の評価フレームの検討」
本研究は、都市緑化の普及啓発を目的とした催事である全国都市緑化フェア(以下、緑化フェア)の地域へ及 ぼす効果を明らかにし、緑化施策における緑化フェアの役割を把握した上で、緑化フェアの評価フレームを提 示することを目的とする。 具体的には、実例を通じて (1)緑化フェアの効果の対象とその範囲を時間軸に基づき整理し、緑化施策における緑化フェアの意義を評価 すること (2)緑化フェア主催自治体が、地域の課題を解決するものとして緑化フェアを使用するための評価項目とその 活用の仕方(評価フレーム)を提示することを目標とする。

原田 あすか
東京工業大学

修士課程2年

「大地震時における人的被害軽減のための効果的な緑化方法に関するシミュレーション分析」
木造住宅密集地域では、民有地の緑化や空き家の解体等による防災まちづくりが推進されている。しかし、物的・人的被害の低減にどの程度効果があるかは十分に検討されていない。本研究は、都市の防災機能の向上にむけて、みどりによる人的被害低減効果が表れる可能性のある地区、および、初期消火活動の成功につながる緑化方法について、先駆的な知見を得ることを目的とする。

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調査研究活動助成事業について、これまでの助成先・研究テーマ等については、以下のページにてご案内いたしております。ご参照ください。


投稿日: 2018年6月18日
カテゴリー: 調査研究活動助成事業 タグ: