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令和2年度の調査研究活動の助成対象者が決定いたしました

公益財団法人 都市緑化機構では、緑による都市環境の改善に資する調査研究のため支援を希望する者に対し、当該調査研究活動に係る費用を助成しています。

本助成は、当機構の会員のみならず都市緑化の研究に携わっている学生、研究者に対して、研究の機会を広げるとともに、研究の内容を高めるべくその調査研究活動等に必要な費用の一部を助成するものです。

令和2年度(2020年度)助成対象者

令和2年度の調査研究活動の助成対象者は、都市緑化機構内に設置した選考委員会によって、応募された調査研究課題の都市緑化技術としての適確性、独自性、内容、方法の適切さ、成果の有効性等について評価がなされ、その結果、以下の5名の方と決定いたしました。

 

申請者/所属 研究テーマ・内容

嘉瀬井 祥太

高知大学大学院

修士課程 2 年

「都市環境における建築物壁面を活用した植物栽培空間の創出」
近年、飲食店店内での葉菜類の栽培など、農業における都市空間の新たな活用方法が模索されている。 平地の乏しい日本において、都市空間の有効活用は重要なテーマである。本研究では、都市緑化の新たな手法として、既存の建築物壁面を利用するビニール温室を提案する。ビニールなどの被覆資材は栽培空間 を保護する一方で、夜間における主な熱損失面となっている。そのため、被覆資材の一部を建築物壁面で置き換えることで温室の保温性能向上が期待される。このような構造の温室は、既存の技術を用いて容易 かつ安価に建築可能であり、基本的な気象条件が整えば、作物栽培やガーデニング等に利用できる植物栽培空間を都市部に創り出すことができる。

呉 京樺 

東京農業大学大学院

修士課程1年

「旧尾辻国吉邸(劉真教長故居)庭園の修復に関する研究」
台湾には、日本統治時代(1894-1945)における日本式の歴史的建造物が数多く残っている。1982年に台湾文化資産保存法が施行されてから、現在に至るまで登録した古跡と歴史建築の半数が日本統治時代に作られたものである。
しかし、文化資産建造物の修復は進んでいるものの、本来は建造物とセットであるべき庭園は丁寧に保存されていない状況である。庭園が適切に修復されていない理由は、台湾は日本統治時代の庭園の研究、さらに修復の事例が少ないため、実際の庭園修復の参考が少ないのが原因と考えられる。そこで本研究では、旧尾辻国吉邸(劉真教長故居)庭園を事例として、日本統治時代における庭園の修復を試論的に検討することを目的とする。

崔 麗華 

京都大学大学院

博士課程2 年

「日本庭園の熱環境緩和機能に関する研究」
日本では近年地球温暖化影響による異常気象が頻繁的に起こり、熱中症患者数や死亡人数が増えている。人々の熱的ストレスを解消できる都市緑地空間が求められているが、快適な都市緑地のデザインに関する知見はまだ浅い。修士研究から、京都市にある池泉式庭園の熱環境を研究し、池泉式庭園の快適な熱環境は適切の景観要素の配置によることを明らかにした。枯山水庭園の熱環境に着目し、京都の蒸し暑い夏に適応するための快適な空間づくりに関する知恵を読み取るための調査を行う。日本庭園の熱環境緩和機能を明らかにすることを通して、快適な緑地のデザイン手法に関する知見を得ることを目指す。 

胡 清清 

兵庫県⽴⼤学大学院

博士前期課程2年

「神戸市都心再整備事業におけるメインストリートの緑化空間の構成に関する研究」
神戸市では、都心三宮地区の『再整備基本構想』(平成29年)に基づき、市を代表する緑化空間でもあるメインストリート「フラワーロード」を再整備する。駅前~繁華街~市役所~都市公園と周辺土地利用が変化する中で、歩行者利便増進道路制度に代表される「賑わいのある道路空間」づくりに向けて、滞留性(居心地が良い)と回遊性(歩きたくなる)の両立が求められる。しかし、緑化空間がどのように滞留性と回遊性に作用するか研究の蓄積は無く、今後のコンパクトシティ施策に向けて知見が求められている。本研究では、①歩行者の滞留性と回遊性に作用する緑化空間の構成、②期待できる滞留行動と回遊行動を明らかにすることを目的とする。

髙尾 尚宏

大阪大学大学院

修士課程2年

「都市緑化の評価・認定制度が緑地の質の向上に与える影響」

本研究は、民有都市緑地が利用者にとって快適な空間整備が促進されるために今後の都市緑化の評価・ 認定制度の在り方を明確にするための研究である。評価・認定時の協議プロセスや認定取得によって民有 都市緑地の管理に改善や新たな試みが行われることで緑地の質が向上し、利用実態に変化が現れるという仮説の元、その管理体制の変化と利用実態の因果関係を明らかにする。都市緑地の生物多様性への影響を 捉える研究とは異なり、人にとって快適な都市緑地に着目する点が特徴である。これにより制度活用による良好な都市環境形成に資する民有都市緑地の創出促進の知見を得ることが期待できる。

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調査研究活動助成事業について、これまでの助成先・研究テーマ等については、以下のページにてご案内いたしております。ご参照ください。


投稿日: 2020年7月28日
カテゴリー: 調査研究活動助成事業 タグ: