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第30回緑の都市賞受賞概要

第30回 緑の都市賞 受賞作品概要
【内閣総理大臣賞】神奈川県川崎市 (緑の都市づくり部門)
川崎市は高度経済成長期の日本を代表する工業都市として発展する一方で、様々な環境問題を生み出してしまいました。また、宅地開発等が進み緑は減少し続けています。人口増加率が高く、利便性の高い立地状況にあることから、より効果的、効率的な緑の取り組みが求められています。平成20年3月に緑の基本計画を改定し、「多様な緑が市民をつなぐ地球環境都市かわさきへ」を基本理念に、新たな地球環境時代に即した取組みに着手しています。主な取り組みとしては、緑地総合評価を施策展開の基本に据えた多摩丘陵や多摩川などの緑の軸線の維持、市域にバランスよく配置された大規模公園や主要駅周辺など緑の拠点の整備推進、そして、それらをつなぐ地域緑化の促進を進めています。  
また、市域に限らず多摩三浦丘陵に関係する自治体に呼びかけを行い「多摩三浦丘陵自治体広域連携」の推進や、市民100万本植樹運動のスタートによる更なる市民緑化運動の促進など、様々な緑の取り組みを推進し、低炭素社会を目指しながら地球環境に貢献する取組みを進めています。
【国土交通大臣賞】新潟県見附市立見附小学校/見附市立見附小学校愛育会(緑の拠点づくり部門) 
平成8年度から、年間を通して四季折々の草花と触れ合い、草花を介して幼稚園や老人会など様々な人たちと地域の絆を広げています。簡易的なプラ鉢や白プランターから、より温かみのある本物の樽やテラコッタを導入し、ドームやアーチ、スタンド、ハンギング、ベランダなどを活用して立体的で夢のあるテーマパークのような緑化環境を毎年デザインしています。草花の観賞だけではなく植樹・播種・育苗・世話・収穫・加工などの季節に対応した活動と、子どもたちの「夢や願い」に基づいて「香り」「食べる」「聴く」「触れる」などの五感を通したイベントに、総合的に取り組んでいます。   
幼少期から草花に触れ、植物を育てることの楽しさを体感してきた子どもたちと、そして共に草花を介して様々な活動にかかわってきた市民等にとって、草花はなくてはならない生活環境として定着しています。15年間に渡り小学校から地域へ草花を介した活動を継続して発信してきた結果、様々なボランティア団体も組織され、今や全市を挙げての緑化活動に発展しています。
【国土交通大臣賞】パークプレイス大分公園通り団地管理組合法人/大分シティ開発株式会社(緑の地域づくり部門) 
 「パークプレイス大分公園通り」は大分市中心部から南東へ約10kmに位置する開発面積約113ha 総区画数約1,200区画からなる緩やかな南東斜面で日照の良い住宅地です。造成前の貴重な里山の自然を生かす事をまちづくりの大きなテーマとして水系や植生の再生や造成前にドングリを拾い育てた苗や自生していた森の樹2,000本が移植されています。また「公園」をテーマとして、街のエントランスのゲートパーク、街の中心にある広さ10,000㎡のセントラルパーク、周長1.6kmのネックレスパーク、九六位山や大野川の眺望を楽しむスカイパーク、さらにネックレスパークに点在するファイブセンスガーデンや住宅ゾーンの一部には緑地帯やフットパスも整備されています。  
これら公園用地約5.6万㎡は管理組合法人が所有し、住人の方からの管理費によって、グリーンキーパーが常駐して公園環境を保全しています。維持管理は、暮らしとの調和、景観の調和、機能と役割の調和、心との調和をバランス良く保つよう配慮されています。高い資産価値を維持し世代交代がうまく進むよう、長期的なビジョンに基づき運営・修繕の計画がなされています。
【国土交通大臣賞】 千葉県松戸市 (緑の都市づくり部門) 
 松戸市は、都心に近接し交通利便性の高い人口約48万人の生活都市で、江戸川沿いの低地から下総台地へと起伏に富み、斜面樹林や河川が多い地形となっています。まちづくりの基本方針「住んでよいまち・訪ねてよいまち」を実現するため、水・みどり・歴史資源を大切にする都市づくりを展開しています。平成15年からは、市民との協働による「里やまボランティア入門講座」を実施し、残された貴重な民有樹林地保全の新たな担い手づくりに取組んでいます。「里やま応援団」として多くの市民団体が活躍しており、手入れのされた樹林地の一部は、所有者の協力のもと、観察会や森の音楽会等のイベント開催時に公開され、地域の宝物として貴重な存在になりつつあります。  
また、花いっぱい運動を推進している各団体間の情報共有と連携を目的とした「花壇づくりネットワーク」や、都市公園での市民協働による運営・維持管理が地域活動にまで広がりをみせている「根木内歴史公園サポーター根っ子の会」が活躍しており、市民が主役の「みどりの市民力」によるまちづくりが着実に浸透しています。
【都市緑化機構会長賞】野山北・六道山公園ボランティア (緑の拠点づくり部門) 
 都立野山北・六道山公園は、東京都と埼玉県の都県境にある緑の島、狭山丘陵に位置する都立公園です(現開園面積178.2ha)。園内には雑木林や田畑、湿地など里山の風景が残されています。野山北・六道山公園ボランティアは「風景と自然の保全」と「伝統文化の継承」を大きな2本柱とし、『この美しい里山の風景を未来の世代へ伝えたい』という想いで活発に活動しています。「風景と自然の保全」では、林や田畑の手入れ、外来種の除去を通して、景観や山野草の復元に取組んでいます。  
 調査、目標設定、計画づくりの体系的な保全管理手法により、キンランやタカアザミなど希少植物が回復しています。「伝統文化の継承」では、小麦を栽培して作る伝統食「かてうどん」をはじめ、「まゆ玉」等の伝統行事、竹や藁を使う農芸を行い、学習会も開催しています。会員数、活動面積、活動内容も年々拡充しており、平成21年度は学校・地域団体も合わせ、のべ6,600名以上の参加がありました。今では、生きものも人も賑わう笑顔の絶えない公園となり、ボランティア活動が地域の活性化にもつながっています。
【都市緑化機構会長賞】荒川バラの会 (緑の地域づくり部門) 
荒川区では、多くの人に親しまれている都電荒川線の沿線を区のみどりの軸として、また、観光資源として成長させようと、昭和60年より都電沿線のバラ植栽事業に取組んでいます。現在では、約1万3,000株ものバラが植栽されており、花の季節には華麗に咲き誇るバラを目当てに多くの人が訪れます。この都電沿線のバラの一部を維持管理しているのが、ボランティアグループ“荒川バラの会”です。会員は、美しいバラを咲かせようと、熱心に日々の手入れを行うほか、区が開催する講習会を受講するなどし、維持管理技術の向上に努めています。  
花がら摘み、剪定、水遣り、施肥など、バラの維持管理には手間がかかりますが、会員の努力の甲斐あって都電沿線のバラのボリュームは、年々増しています。また、バラの会の発案により、昨年始まった“あらかわバラの市”は、今年も町屋駅周辺で開催され、5,000鉢ものバラが販売される盛況なイベントとなりました。バラの会の活躍により、都電沿線のバラは美しさを増していくとともに、ゴージャスなバラが荒川区中の庭先にまで拡がっていくことが期待されています。。
【都市緑化機構会長賞】おゆみ野の森を育てる会/千葉市/新都市ライフ/都市再生機構(緑の地域づくり部門) 
 千葉県千葉市緑区に位置するおゆみ野地区は、都市基盤整備が完了し、現在は熟成段階にある街です。それに伴い様々な課題が発生していく中で、地域を暮らしやすくするために自ら活動を行う市民活動が芽生えてきました。それを踏まえ、ソフトな都市基盤の仕組みづくり「まちそだて事業」がスタートしました。まちそだて事業は、市民活動助成事業、暫定施設の空き室活用事業、そして今回取り上げる街山づくりモデル事業からなります。おゆみ野地区内の学園前駅に隣接する「おゆみ野の森」は、土地所有者である都市再生機構が千葉市の「街山づくりプログラム」を適用して土地を千葉市に提供し、千葉市によって市民緑地に指定された緑地です。  
日常的な管理は千葉市から市民団体「おゆみ野の森を育てる会」に委ねられており、管理の他、敷地内に包蔵する遺跡や樹林を用いた遊びや体験型プログラムが市民の手で行われ、地域住民の交流の場となっています。「おゆみ野の森を育てる会」は、緑地の維持管理とイベント等の管理運営を独自に行う市民団体として、街の熟成の象徴として活動が行われています。
【奨励賞】特定非営利活動法人 森の風音 (緑の拠点づくり部門) 
 滋賀県営都市公園「びわこ文化公園」は、約43haの里山的な公園で、住宅街が間近にあり、駅や名神高速道路のICから5~6分のアクセスという利便性により、都市住民が容易に自然と触れ合える場として賑わっています。公園内には120種以上の樹木があり、キツネ、タヌキ、ノウサギ、ニホンリスなどが生息する豊かな生態系を維持しています。しかしながら、20ha以上の雑木林や草原の大半は、20~30年放置されてきたので、荒廃し、人が近づけない場でした。  
2001年から、植樹、間伐・除伐、除草、および遊歩道整備などの環境ボランティア活動を継続してきた結果、今日では約1haの森が再生し、多くの小動物の生息が確認されています。荒れて人が入れなかった森には、草が萌え花が咲き、幼児から高齢者までが訪れる憩いの場所へと変わりました。今後は、公園内での集会所・休憩所(公園サロン)の建設と庭の整備を市民主体で行う計画で、サロンの周囲には、日本在来の草木で構成したナチュラル・ガーデンを巡らし、日本特有の四季折々の変化を楽しめる里山景観の創出を目指し活動中です。
【奨励賞】サッポロガーデンパーク (緑の拠点づくり部門) 
 サッポロガーデンパークは札幌市東区苗穂に位置する面積約4.3haの再開発地区で、観光客になじみの深いサッポロビール園などを有する施設です。園内に建つサッポロビール博物館は、1890年(明治23年)に建設されたもので、北海道遺産に選定されており、地域に愛され続けている札幌の重要な観光資源となっています。サッポロビール株式会社は、潤いを創造し豊かさに貢献するという企業理念のもと、訪れるお客様や地域の方に潤いとやすらぎを感じてもらうことを目的に、地域に開かれた緑豊かなオープンスペースづくりに取り組んでいます。  
豊かな自然の恵みを次世代に引き継いでいくため、従来下水道に流されていた通路の雨水を花壇に集めて地中に還元する雨水浸透型花壇づくりによる水環境の改善に努めているほか、地域の子どもたちと麦やホップの畑をつくることで北海道の農風景を街なかに再現するとともに環境教育活動にも取り組んでいます。また、地域の方々が気軽に集うことができる公園的な役割を担っており、町内会や市民団体のイベントにも数多く活用され、街のにぎわいづくりにも貢献しています。
【奨励賞】丸の内パークビルディング・三菱一号館(緑の拠点づくり部門) 
一号館広場は、高度化した都心業務地区の新しいまちづくりにふさわしい空間を創出することによって都市生活の快適性や都市の魅力を高め、都市の文化の創造の一翼を担うことを目的として生み出された新しい広場です。皇居に隣接する丸の内地区に新しい緑の拠点を設けることで、広域的な緑のネットワーク形成に取り組むと同時に、丸の内で最初のオフィスビルを復元した煉瓦造建築「三菱一号館」に隣接する環境を生かし、都市の喧騒を忘れさせるような緑豊かな憩いの空間となっています。季節感ある緑化計画とすると同時に、三菱一号館の設計者であるジョサイア・コンドルが自らの作品において好んで用いたとされる「バラ」を中心に植栽することで、賑わいと変化のある緑化空間が演出されています。  
壁面緑化や屋上緑化、ドライミストや保水性舗装などの新しい技術を積極的に導入し、建物と一体となった緑の空間となっています。美術館として利用されている三菱一号館にふさわしく広場にはアートが設置され、広場を取り囲む飲食系施設から滲み出す都市生活の魅力的なたたずまいは、広場の目的である都市の質的・文化的な多様性と深まりをつくる形成しています。

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投稿日: 2013年6月11日
カテゴリー: 緑の都市賞|都市の緑3表彰